アスレチックスからFAとなった松井秀喜外野手(37)がメジャー10年目を迎える来季への覚悟を示した。28日、自宅のあるニューヨークから約10カ月ぶりに帰国。大リーグ移籍後、初めて去就が決まらない越年での“帰郷”となったが、焦りは一切見せなかった。指名打者のないナ・リーグ移籍、レギュラー保証なしのオファーが来る可能性もあるが「ユニホームを着たら、いつも競争」と、あらゆる状況を受け入れる決意だ。

 松井の決意は、言葉の端々からにじみ出た。所属先が決まらない越年の状況での帰国。年が明けても、条件、待遇のいいオファーが来る保証はない。だが、すべてを受け入れる腹は固まっている。「ユニホームを着たら、いつも競争。(控えという)その状況になってもレギュラーになれるように頑張るだけ。それはいつもと変わらない」。肌を突き刺すような寒さの成田空港屋外での囲み取材。だが心は静かに燃えていた。

 節目のメジャー10年目が、現時点でまさかの白紙。シーズン終了直後は、アスレチックスからの残留オファーが濃厚だった。だが本拠地移転問題が浮上し、ア軍は若返り化に急転換。来季38歳を迎える松井への残留は棚上げとなった。オリオールズ、レイズの幹部が高評価を口にした時期もあったが、具体的なオファーには発展していない。

 今、所属先へのこだわりはない。指名打者制ではなく、起用が限定されるナ・リーグに対しても「もしそうなっても、少しでも多く出られるように準備するだけ」。かつてヤンキース時代には4年5200万ドル(当時で約62億円)の大型契約を結んだが、マイナー契約を提示される可能性もある。「まだ、そこまで考えていない」と話すが、厳しい風向きであることは理解している。

 逆襲への準備は進めている。ニューヨークでも定期的にトレーニングを続けてきた。「お話を頂いて、あとは決めるだけ」。今、多くを語る必要はない。決意を示せる働き場所を見つけるだけだ。【広重竜太郎】