楽天からFA(フリーエージェント)宣言した岩隈久志投手(30)の移籍先の最有力候補がマリナーズであることが12月31日、分かった。複数の日米球界関係者の話を総合すると、近日中に合意の可能性もある。ポスティングシステム(入札制度)によるメジャー挑戦を断念してから1年、ついにメジャーリーガー岩隈誕生が秒読みとなった。

 これまで、移籍先はアスレチックスとツインズの2球団が有力だった。だが、ある米球界関係者は「岩隈はマリナーズと聞いている」と証言。岩隈に近い関係者も、マ軍のオファーを認めた。マ軍は岩隈がFA権を取得する前から長期にわたり調査を続けてきており、高い力量を熟知。年の変わり目を前に“本命”が急浮上した。

 岩隈の希望条件は(1)本当に必要としてくれているか(2)家族の住環境の2点。マ軍は、これに沿う。10年サイ・ヤング賞のヘルナンデスがエースだが、先発陣は全体的に手薄となっている。日本通算107勝右腕が本領発揮できる状況にある。また、本拠地シアトルには日系コミュニティーが確立しており、日本食材なども手軽に入手できる。治安も良く、日本人には住みやすい町といえる。

 岩隈は12月29日に年内の練習を終え、大みそかのこの日は仙台市内の自宅で大掃除にいそしんだ。「新たな気持ちで新年を迎えたいと思います。来年は、アメリカから仙台の皆さんに明るいニュースを届けたいですね」と新年の誓いを立てた。三が日が明けたら、徐々にトレーニングを再開。年内決着とはいかなかったが焦りはない。準備を怠らず、吉報を待っている。

 ◆マリナーズの先発陣

 10年サイ・ヤング賞を獲得したエースのヘルナンデスは健在だが、2番手以下は安定感を欠く。バルガスは2年続けてローテーションを守ったが、いずれも負け越し。3番手以下は昨季初昇格した2年目トリオのピネダとバーベン。ともに22歳、201センチの巨漢右腕だ。投手有利の本拠地に助けられて、昨季の先発防御率はリーグ5位タイの4・04。一方でここ数年の貧打ぶりは深刻で、辛うじて勝率5割を守ったヘルナンデス以外は負け越した。このオフは目立った補強はなし。先発投手は我慢の投球を強いられそうだ。