アスレチックスをFAとなった松井秀喜外野手(37)の残留がほぼ消滅した。ア軍のボブ・メルビン監督(50)は16日都内で、マリナーズと対戦する日本開幕戦の記者発表に出席し「ドラマチックなことがない限り、松井と再契約するのは難しい」と、若返りを図るチーム構想から外れていることを明言した。松井は今後どうなるのか。日刊スポーツの調べでは、ア・リーグではオリオールズ、レイズ、古巣ヤンキース、DH制のないナ・リーグではドジャースなどが、新天地の候補として挙がった。

 プロ20年目はどこで開幕を迎えるのか。アスレチックス残留がほぼ消滅し、3年連続で松井の移籍が確実となった。キャンプ始動まで約1カ月となり、選択肢は狭まりつつあるが、交渉の扉はまだ閉じていない。DHに重きを置いた兼任外野手を軸にして、松井を欲しがりそうな新天地には5球団が浮上する。

 最有力はオリオールズだろう。「左のDH兼左翼手」という松井獲得を暗示するかのような補強に動いている。すでに和田、チェン、マイナー契約で前西武土肥を獲得。背景には、今オフから国際部長に就任したポイントベント氏の影響力が大きい。古くはブルワーズ時代に江夏豊氏を招待選手でキャンプに招き、90年代には多くの助っ人を日本球界に送り込んだ大の日本びいき。松井のリストアップは揺るがない。

 対抗馬にはレイズを挙げる。オ軍からFAとなったスコット獲得でDH枠は埋まったかに思えたが、大リーグ研究家の福島良一氏は「スコットは外野兼一塁含み。左のデーモンとコッチマンがFAとなり、まだ左打者が必要」と消えてないとした。また「彼の野球哲学として、勝てる球団を優先するはず。レイズは、過去4年で3度のプレーオフ進出と躍進がめざましい」と、モチベーションが松井を動かすとした。

 伏兵はDHを予定していたモンテロをトレードしたヤンキース。ESPN電子版はこの日、球団関係者の話として「割安感のある選手。契約は遅くてもいい」と、実績ある打者を買いたたく動きを伝えた。候補にはタイプ的に似るデーモンと松井の両OBを挙げた。

 ナ・リーグにも松井と「縁」のある球団がある。ヤンキース時代の打撃コーチ、マッティングリー監督が指揮を執るドジャースだ。ヤ軍前監督で球団買収に動く恩師トーリ氏が球団経営に加わるとなれば、一気に追い風が吹きそう。左翼は守備に難のあるリベラと、打撃は期待できないグウィンなら割り込む余地がある。本拠地の外野は深いが「左中間はゴールドグラブの中堅ケンプがカバーする。あのラミレス(前レイズ)でも守りましたから」(福島氏)。ヤ軍入りする黒田と郭泓志が退団し、球団方針で重視するアジア選手が不在になり、今後オファーに発展してもおかしくない。

 またレッズは正左翼手を探して福留に興味を示すなど、初の日本人選手を獲得する動きがある。ゴジラの新天地はいずこ。気をもむ日が続きそうだ。