レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)が強力サポーターとともにメジャー1年目に挑むことが10日、分かった。日本ハム前チーフトレーナー中垣征一郎氏(42)がレ軍と正式契約。プロ入団1年目から師事した「恩師」で、肉体面について精通する同氏の後押しを受けることになった。ダルビッシュはこの日、成田空港から渡米し、いよいよ注目のシーズンへ向けて本格始動する。

 野球人生の新たな門出を、ダルビッシュが心強い援軍と二人三脚でスタートすることになった。この日、ラフな服装で自主トレ先と見られる米ロサンゼルスへ出発。コメントはせずに大リーガーとしての1年目の第1歩を切ったが、その戦いを中垣氏がバックアップすることが判明した。このほど、レ軍と正式契約を交わしたもようで、アリゾナ・サプライズで23日に始まるキャンプから合流する。

 強い信頼関係で結ばれている「恩師」だ。日本ハムのルーキーイヤーの05年から10年まで6年間、指導と助言を受けてきた存在。投球を含めた動作のメカニズム、最高のパフォーマンスを発揮するためのコンディショニング論などの手ほどきを受けてきた。ダルビッシュが初めて2ケタ勝利の12勝を挙げた2年目の06年以降の急速かつ順調な進化を語る上で、欠かせない1人だ。

 同氏は10年限りで日本ハムを退団し、昨年からフリーで活動。それでもダルビッシュは画期的な理論に共鳴し、2年連続でオフの宮崎での自主トレに同行してもらうなど、自身に必要な存在として交流を続けていた。今回のメジャーへの同行も、ダルビッシュの強い希望で実現したという。ほかには日本から渡米して通年で帯同するメンバーはおらず、2人だけの「チーム

 ダルビッシュ」になる。

 長い年月をともに過ごした中垣氏は、好不調時の修正ポイントなども熟知。未知で過酷なプレー環境を乗り切るための使者になる。「これから先、環境が変わって自分がどうなっていくかも分からない」。ダルビッシュは1月の退団会見で少しだけ疑心暗鬼になっていただけに、それを払拭(ふっしょく)するプラス材料を得た。世界一投手の称号を目指す挑戦に、強い後ろ盾がついた。

 ◆中垣征一郎(なかがき・せいいちろう)

 1970年(昭45)1月18日、東京都生まれ。高校で本格的に始めた陸上では中距離選手。筑波大へ進み、卒業後「小守スポーツマッサージ療院」に4年間勤務。その後は伊勢丹ラグビー部のトレーニングコーチなどを務め、97年に米ユタ大大学院へ運動学を学ぶため留学。在学中にメッツ臨時トレーナーも務めた。