メジャーリーグのオープン戦が2月29日(日本時間3月1日)、フィリーズ-フロリダ州立大戦で開幕した。マイナー契約を結び、招待選手としてキャンプ参加中の選手にとっては生き残りをかけた1カ月がスタート。米3年目のパイレーツ五十嵐亮太投手(32)はオフに習得したスライダーを武器に約2分の1の救援枠入りに挑む。

 3日のブルージェイズ戦でのオープン戦初登板を控えた五十嵐は、ブルペンで熱のこもった30球を投げた。「ここまで自分でやりたいと思ったことができていますね」と仕上がりは順調だ。シーレイジ投手コーチも「スライダーがいい。試合でもブルペンと同じ投球をしてくれれば申し分ない」とうなずいた。

 オフに習得したスライダーが今季の武器だ。2年前、メッツに入団した当時、フォークが思うように落ちず、スライダーの習得を勧められたが苦労した。付け焼き刃の練習では試合で使えるはずもなく、ようやく手応えをつかんだのが、昨季終了間際だった。オフに一念発起してドミニカ共和国のウインターリーグに参加。どのカウントでもスライダーでストライクが取れるように磨きをかけた。

 メ軍時代を知る捕手バラハスは、2年ぶりに球を受け、「速球とスライダーでカウントを整えて、カーブでタイミングを外す。断然、投球が組み立てやすくなった」と成長を認める。

 メッツでは2年間で通算79試合で5勝2敗、防御率5・74と苦しんだ。オフには日本球界から好条件で誘いを受けたが、「あきらめきれなかった」。招待選手としてメジャーキャンプに参加する今季は「勝負の年」と決めている。残る救援6枠を13人で争うサバイバルレース。「これでダメだったらあきらめがつく」と言うが、悲壮感はない。十分準備を積み重ねた充実感と自信が漂っていた。(ブラデントン=佐藤直子通信員)