<オープン戦:マリナーズ8-6レッズ>◇6日(日本時間7日)◇アリゾナ州ピオリア

 「ムネ&イチ」コンビがしっかり機能した。マリナーズ・イチロー外野手(38)がオープン戦3戦目となるレッズ戦で初安打&初打点。2度の得点圏で打点を挙げるなど3安打2打点で「3番」の役割をまっとうした。「2番二塁」で出場した川崎宗則内野手(30)との初コンビは、ともに3打席すべて出塁するなど息ピッタリだった。

 3番の役割を、単打でまっとうした。3回無死満塁の2打席目。内角球を引っ張らず、左前へライナーで抜いた。4回2死一、三塁の3打席目は、甘く入る直球を引っ張り鋭い打球で右前へ運んだ。「僕であることは変えられないから。3番に入ったことでホームランが増えるはずもないし、それを分かって(首脳陣が)そこ(3番)にしているわけだから、やれることは変わらない」。スタンスを広げ、右足の踏み込みを小さくした新打法で臨んだ今キャンプ。長打量産への取り組みともみられたが、打撃の意識は変わるはずがなかった。

 初めて「2番川崎」と並んだ効果は、プレー以外でも表れた。1回に一、二塁の好機を2人で生み出す。後続の右前打で生還を狙う川崎が三塁コーチに突然制止させられたため、イチローは二、三塁間に挟まれアウト。守備に向かう川崎に、直前のプレーを身ぶりで振り返る姿があった。「野球の話をきっちりできるのは次へつながっていく感じがするよね。それは日本でやっていると当たり前のことなんですけど、こちらで日本人が(チームで)1人でやる時っていうのはそれがないんですよね」。ベンチでは互いに戦況を分析しながら、プレーを見続けた。

 かつて一塁から完璧なスタートを切りながらも、打者がファウルする無神経さを何度も味わった。落胆した気持ちをぶつける会話が出来なかったことを経験している。それだけに川崎とのベンチトークは「楽しいっていうか、忘れていたものですね」と、思わずほほ笑んだほどだった。初安打&初打点以上に、目に見えない収穫を感じ取っていた。【木崎英夫通信員】