<オープン戦:パドレス2-6レンジャーズ>◇7日(日本時間8日)◇アリゾナ州ピオリア

 レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)が、貫禄十分にスタートを切った。パドレスのキャンプ地でオープン戦初登板。最速97マイル(約156キロ)をマークするなど2回2安打無失点で3奪三振。随所にメンタル面の強さを発揮し、二塁打2本を許しながら後続を断った。4月6日(同7日)の開幕からの大ブレークを予感させる威風堂々の船出で、メジャーリーグへ宣戦布告した。

 ダルビッシュの投球は、パドレスの打者に強烈な印象を植えつけた。昨季40盗塁の1番メイビンは腰が引けて見逃し三振を喫し「いいコースにスライダーを決められたね。非常に早くメジャーの壁を乗り越えた。今までの日本人投手より運動能力が優れているのは明らか」と実力を認めた。最近3年で計71発の4番クエンティンは空振り三振。「6月に交流戦で当たるだろうから、その時に話したい」と多くを語らなかった。

 最後の打者で三振した控え捕手のベーカーは、数日前まで高熱にうなされ、この日が復帰戦。「今年初めての打席で5種類のボールを投げてくるなんて反則。あんなピッチャー見たことない」と完全にお手上げだった。右翼線二塁打を放ったハドソンは「とても落ち着いていた。メジャーでは1種類のボールを満足に投げるのも難しいのに、7種類とは…」と多彩な変化球を操る技術に驚いた。

 だが、メジャーのプライドものぞかせた。特大二塁打を放ったベナブルは「打球が球場の外に出なくてラッキーだったね」と不敵な笑み。125メートル地点にある中堅フェンスだけが他の部分より高さがあり、打球の方向が違えばフェンスオーバーだった。「そんなに捉えられたという感じはしなかった」というダルビッシュのコメントを伝え聞くと「彼の本心じゃないと思うよ」と言い放った。ダルビッシュが求めた“刺激のある戦い”が幕を開けた。

 ◆投球内容

 打者8人のうち7人は初球ストライク。36球中26球がストライクでストライク率は72・2%。ちなみに先発部門で昨年メジャー全体1位の左腕リー(フィリーズ)は69・3%だった。空振り率25%(9球)は、昨季のア・リーグ5位相当。この日は7球種を投げたとみられるが、現役投手ではマイヤーズ(アストロズ)とウエストブルック(カージナルス)が8球種を投げ分ける。

 ◆パドレス

 ナ・リーグ西地区で昨季5位。前年2位から最下位に転落した。打線が課題で打率2割3分7厘、91本塁打はリーグワースト。このオフはエースのレートス、守護神ベルら主力投手の退団が相次いだ。若手有望株は多いが、今季も苦戦必至とみられる。