<オープン戦:マリナーズ5-5ドジャース>◇10日(日本時間11日)◇アリゾナ州ピオリア

 マリナーズ岩隈久志投手(30)が「希望」と刺しゅうを入れたグラブをはめ、震災復興への思いを込めて投げた。オープン戦2度目の登板となったドジャース戦。「今日の登板日を聞いた時から日本時間では11日と分かりました。オープン戦だけどシーズンと同じ強い気持ちで(試合に)入っていこうと思ってましたね」。国歌斉唱時には目を閉じ、聞き終えると一礼。特別な思いで先発のマウンドに向かった。

 東日本大震災の復興を願う強い気持ちとメジャー1年目の自分を鼓舞するために「希望」の刺しゅうをグラブの内側、手のひらの部分に入れている。「刺しゅうの糸が柔らかい手のひらにしっかりと伝わってきます」というお気に入りのグラブで、2回には痛烈な打球を捕った。4回2死二、三塁のピンチでは、課題となっていた捕手との呼吸を合わせて「投げたかった」というフォークで空振り三振を奪った。

 「今日は頑張ってくるからね」と、朝の出がけに家族にそっと誓ったという岩隈。1本塁打を含む4安打2失点の52球の投球には今後の「希望」につながる確かな手応えがあった。16日のブルワーズ戦では5回75球を目安に投げる。(ピオリア=木崎英夫通信員)