<オープン戦:ブルワーズ4-7マリナーズ>◇13日(日本時間14日)◇アリゾナ州メリーベール

 マリナーズ川崎宗則内野手(30)が三塁挑戦指令を受けた。「9番遊撃」で先発出場したブルワーズ戦は三振と犠打に終わった。ここまでの9試合、二塁と遊撃で出場しながら打率3割4分8厘の川崎に、首脳陣は三塁の守備練習を命令。川崎は16日のホワイトソックスとの練習試合で「三塁米国デビュー」することになった。一定の評価を得て、開幕メジャー入りに向けていよいよ最終段階を迎える。

 突然の通達だった。ブルワーズの待つ敵地へ出発する前の全体練習の最中、トンプソン・ベンチコーチがフィールドの端へ川崎を呼び寄せた。「明日から三塁守備を練習してくれ。16日の練習試合はスタメン三塁でいくぞ!」。帽子を取り、神妙な面持ちで川崎はうなずいた。

 2月18日のキャンプインからここまで、守備練習でも行わなかった“ホットコーナー”厳命は、二塁と遊撃での見通しを首脳陣がつけた証拠だ。さらに、追い風も吹く。ウェッジ監督は、キャンプ中のけがで復帰が開幕以降になる中堅グティエレスに代え、正三塁手のフィギンズを中堅に回すオプションを数試合で実行している。2枠ある内野控えの有力候補シーガーと川崎が、ホットコーナーを巡って激しいバトルを展開する状況もあり得るようになった。

 ブルワーズ戦では確実に犠打を決め、首脳陣の信頼をまたひとつ勝ち取った。6回無死二塁。三塁手と一塁手が同時に突っ込んで来るシフトも苦にせず、初球を投手右へ転がした。第1打席には、09年のサイ・ヤング賞投手ザック・グレンキから見逃し三振。それでも2ボール2ストライクから連続4球ファウルで食らいつく、しぶとさを見せた。

 「またすごいピッチャーを知ったなあと思いました。でも、粘っても最後は塁に出ないといけないと思うし。そこは悔しいですけどね」。超一流投手との対戦だからこそ得た収穫があった。「緊張度はいつもマックスなんで。もうそれ以上増えることはないです」。マイナー契約から夢のメジャーへ。答えはもうすぐ出る。【木崎英夫通信員】