マリナーズのイチロー外野手(38)がメジャー12年目で初の“凱旋(がいせん)開幕戦”に向けて23日、日本に上陸した。成田空港着のチャーター機で来日。約150人のファンと、約50人の報道陣が待ち受ける中、チームの先頭を切って登場。ピンクをちりばめた個性的なファッションで独特のオーラを放った。今日24日から東京ドームで練習を行い、28、29日の開幕シリーズ(東京ドーム)に向けて仕上げていく。アスレチックスも来日した。

 イチローが華やかな桃色をまとって、さっそうと到着ロビーに現れた。ハット、七分丈のような黒っぽいスーツと、丈の短いパンツだけでも十分に目立っていたが、メガネの縁、ネクタイのストライプ、ソックスと随所にピンクを配色。サッカー界なら中田英寿氏、本田圭佑が異彩なファッションで成田空港に登場したが、野球界のスーパースターの凱旋もファッションショーのようだった。

 独特のオーラからか、約150人のファンから「イチロ~」の声援は少なかった。フラッシュの閃光(せんこう)に表情を変えることなくクールに、約20秒でVIP専用の出口に姿を消した。直後に姿を現した川崎がファンの声援に「ハイハ~イ」と答えたり、岩隈が手を軽く挙げて応じたのとは対照的だった。

 事前に主催者サイドから取材禁止が通達され、イチローは報道陣にも対応しなかった。だが、メジャー12年目で初の“凱旋開幕戦”への思いは高ぶる。キャンプイン当日から「(岩隈、川崎と)3人で開幕のグラウンドに立ちたいと思います」と宣言。オープン戦では新打順の3番を任され、右足の上げ幅を抑えた新打法の精度を磨いてきた。打率4割、2本塁打、8打点と好成績を残し、満を持して日本に乗り込んできた。

 22日付の大リーグ公式ホームページでは「今までこういう機会がなかったので、自分にとってもチームにとっても新しいことだ。我々にとって、たぶん一生に1回のことだから、楽しみたいし、生かしてきたい」とコメント。日本のグラウンドで躍動するイチローの姿が、もうすぐ見られる。【広重竜太郎】

 ◆メジャー日本開幕戦メモ

 過去に00年3月29、30日メッツ-カブス戦、04年3月30、31日デビルレイズ-ヤンキース戦、08年3月25、26日アスレチックス-レッドソックス戦が行われた。球場はすべて東京ドーム。03年にもアスレチックス-マリナーズ戦が予定されていたが、イラク戦争の影響で中止となった。04年にはヤンキース松井が2試合とも2番左翼でスタメン出場し、2試合目に2ランを放った。08年はレッドソックス松坂が開幕戦の25日に先発。松坂は5回2失点で勝敗なしも、5番手の岡島が勝利投手となった。<日本開幕戦のメジャー来日>

 

 ◆00年

 目玉選手は98、99年と60発を超える本塁打王争いを繰り広げたカブス・ソーサ。成田空港では約300人のファンが歓声を浴びせた。メッツはピアザ、バレンタイン監督が注目を集めた。

 ◆04年

 名門ヤンキースが55年親善試合以来の来日。羽田空港到着が深夜にもかかわらず、報道陣100人超とファンが集結。松井はじめジーター、A・ロッド、リベラらスター軍団への注目度は抜群だった。

 ◆08年

 レッドソックス松坂、岡島が来日。参稼報酬をめぐるチームの日本行きボイコット騒動を乗り越え、深夜未明に羽田空港に到着。オルティス、ラミレスら前年ワールドシリーズ王者に、約50人の日米報道陣が駆けつけた。