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ダル洗礼1勝 4万2000人が満場総立ち

降板するダルビッシュ。手前右は中前打を放ったイチロー(撮影・江口和貴)
降板するダルビッシュ。手前右は中前打を放ったイチロー(撮影・江口和貴)

<レンジャーズ11-5マリナーズ>◇9日(日本時間10日)◇レンジャーズボールパーク

 【アーリントン(米テキサス州)=高山通史、四竈衛、木崎英夫通信員】レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)がもがき苦しみながら、大リーガーとして第1歩を踏み出した。デビュー戦のマリナーズ戦で初回に一挙4点を失い、2回にもさらに1点の追加点を許すなど序盤から大乱調。イチローに3安打を浴びるなど5回2/3を8安打5四死球、5失点と精彩を欠いたが、強力打線が大逆転して初登板初勝利を手にした。メジャーの洗礼を受け、注目の新天地での1年が幕を開けた。

 みんなが立ち上がった。失意のダルビッシュを、人のぬくもりが救ってくれた。6回途中降板。肩を丸めて、ベンチへと向かった。投げ抜いた110球は、テキサスのファンの心を揺さぶった。4万2003人のスタンディングオベーション。大リーガー、世界一を狙うレンジャーズの一員になった。実感がこみ上げ、われに返った。

 ダルビッシュ こんな投球をしてあれだけたたえてくれているというのは、逆に申し訳ないなと思った。

 同じような人の温かさに育まれ、節目で食い下がった。レ軍合流へ調整を本格化させたのは、日本の球団のキャンプインと同じ2月1日。原点になった日本ハム2軍本拠地の鎌ケ谷で始動した。古巣も快く、自主トレ先を提供してくれた。閑散とした施設で、今季初のブルペン投球。捕手は中学時代のチームメートが務めてくれた。スポーツメーカーのスタッフでダルビッシュの担当者。140キロ台後半の直球を指が変形するほど腫らし、旧友は剛球に食らいついてくれた。

 だからボロボロになっても執念で向かっていった。周囲の注目、期待に応えようと気負う自分と闘った。

 ダルビッシュ まず最初にマウンドに立った時に、すごく落ち着いていて、周りもすごく見えていたので『あれ、こういう感じなのかな』と思った。勝負にいきたくて、いきたくて…。体と精神の状態がアンバランスな状態だった。

 先頭フィギンズにストレートの四球。イチローに三塁後方に落ちる安打を許し、川崎に押し出し四球を与えた。初回4失点。自力では、取り返しのつかない状況。2点の先制を許し、6番サウンダースを迎えると、敗戦処理のフェルドマンがブルペンで準備を開始した。

 「何とかいけるとは思いました」。だが、2回には1死からイチローに二塁打を浴びたのをきっかけに1点を献上。3回以降から立て直し、味方打線の計4発の爆発で劇的な逆転劇、記念の1勝が待っていた。

 ダルビッシュ 雰囲気というか、まだつかめていない。ずっと自分にとって「普通」が日本なので、こっちに…。まだ自分の中に入ってきていない部分が、すごくあります。

 1月下旬の日本ハム退団会見。ロッカールームでファンから集まったメッセージを目に焼き付けて野球人生をリセットした。この日あらためて、戦う場所が変わったと、はっきり分かることができた。「(日米の違いはあるが)ベースボール・イズ・ベースボール(野球は野球)と気付いただろう」。我慢の采配をしたワシントン監督も温かい目で見守り続け、門出を演出した。

 公式戦初対決が実現したイチローからも熱いエールをプレゼントされ、先輩の格を見せつけられた。

 ダルビッシュ イチローさんがもともとすごい選手だっていうのがありますし(自分が)勝負できる状態じゃなかった。こっちが綱渡りのような投球だったので、誰に対しても打たれても当然の投球だった。

 何度も胸元へ、そっと右手を運んだ。ユニホームの下にある十字架のネックレスを確認し、必死に自分を探した。神にも、チームメートにもすがった。メジャーで頂点を目指すには、まだ残す未熟さも知った。

 ダルビッシュ なかなか初回の気持ちの入り方が調整できなかった。人間なので誰でもある。

 世界一になれる可能性がある野球人であることを周囲の熱からも感じた。日本からの勇敢な挑戦者の意欲が再燃するにふさわしいスタートとなった。

 [2012年4月11日8時48分 紙面から]









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