<レンジャーズ10-3エンゼルス>◇11日(日本時間12日)◇レンジャーズボールパーク

 雷にも動揺しなかった。レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が、5回1/3を3失点ながらア・リーグトップに並ぶ5勝目(1敗)をマークした。1回を16球無失点に抑えた直後、味方の攻撃中に突然の豪雨に見舞われた。1時間56分の中断も、気持ちを切らずに再びマウンドに戻り、チームの勝利への執念を見せつけた。

 ダルビッシュは迷うことなく、試合再開後のマウンドに向かった。1回、1点を先制し、なおも1死満塁。突然、豪雨に襲われる。試合が始まり、わずか26分後に中断。土砂降りに加え、上空には稲妻が…。試合は、まさに嵐の幕開けだった。

 1時間56分後に再開。通常、長い中断後に、投手が再登板することは少ない。しかも2時間ともなれば、交代するのは通例。「僕はいつでも何時になっても、いくつもりでした。普通の2回だと思って投げました」との言葉通り、続投以外の選択肢はなかった。相手のC・ウィルソンは交代。「(中断が)2時間なので、そのピッチャーによって違うと思うし、チームによって監督によって判断は違うと思うので、それは何とも言えません」と言った。中断中も、イニングを意識しながら、15分ごとに打撃ケージでキャッチボールして備えた。

 マウンドを任された責任感だった。前日、チームは遠征地ボルティモアから早朝4時ごろに到着。先発予定だったために一足先に戻り、休養十分。少しでも中継ぎ陣の負担を減らす-。「1人でも多くアウトを取ろう」という使命を果たすことしか考えてなかった。

 再開後はテンポを重視した。注目された強打者プホルスとの対決に圧勝した。スライダーでタイミングを狂わせた。第3打席には、内角ツーシームを空振りさせて追い込んでから、外角高め直球で空振り三振を奪った。プホルスに「低めに制球し、ミスをめったに犯さなかった」と言わしめるほど、圧倒した。

 試合後の記者会見に姿を見せたのは、日付が変わってから。「2時間も空いてますし、上出来だな、と思いますね」と納得の表情を見せた。ライバル関係のエ軍との対戦については「レンジャーズとのライバル関係があまり分かっていないので、どれほど大きな試合なのかあまり分からなかった。でも、球場はすごく盛り上がったし、そういう意味で、僕はそれに乗って投げることができましたね」と頼もしかった。

 雨でも帰らなかったファンからは、拍手を送られた。ワシントン監督も「あのガッツがいいね」と感心するばかり。ダブルヘッダー、雨天中断後の再登板。日本ではできない経験を積み重ねながら、「メジャー版ダルビッシュ」が形作られていく。【佐藤直子通信員】<雨天中断メモ>

 ◆7時間23分

 90年ホワイトソックス対レンジャーズ戦で7時間23分の雨天中断を記録した。午後1時35分開始予定が遅れ、同8時58分に順延が決定された。本拠地ホ軍は観客にコーヒーとサンドイッチを配るなどしたが、3万人で残ったのは200人だった。

 ◆午前4時35分

 93年7月2日のフィリーズ対パドレス戦のダブルヘッダー第1戦ナイターは5時間54分の雨天中断をはさみ、翌3日午前1時3分に試合が終了。第2戦は24分後に開始され、同4時35分に終わった。中断を含めた2戦合計12時間5分。観客5万人のうち、1200人が最後まで観戦した。