<アストロズ3-5ブルワーズ>◇8日(日本時間9日)◇ミニッツメイドパーク

 ブルワーズ青木宣親外野手(30)が15試合連続安打を放ち、打率3割1厘の好成績で前半戦を折り返した。敵地アストロズ戦に「1番右翼」で出場し、3打数1安打。8回に選んだ2つ目の四球が同点につながり、延長戦勝利に貢献した。米国1年目の今季は開幕控えの立場でスタート。代打や途中出場で結果を出し、6月からレギュラーを奪った勢いそのままに、後半戦も走り続ける。

 青木の選球眼が、逆転への起点になった。1点を追う8回。先頭打者で「安打よりも四球に比重を置いた」と出塁だけにこだわった。四球を選び、後続の安打で同点のホームを踏んだ。前半戦最後の試合を勝利で飾り「すごく大きい四球。いい仕事ができた」。1回の右前打で連続試合安打も15に伸ばし、充実感いっぱいの表情で振り返った。

 開幕時の控えから、立場を一変させた。少ない出番でも腐らず、準備を怠らなかった。初対戦の投手対策に、次打席で待つ時は少しでも本塁側に身を乗り出して、球筋を確認した。5月からは家族が合流し「家にいてくれるだけで全然違う」。自宅で待つ8カ月の愛娘の成長が楽しみで仕方ない。本拠地の試合には、佐知夫人お手製のおにぎりを持参。にんにく塩たっぷりの日本食パワーのおかげもあり、6月に入ってレギュラーの座を奪った。

 低評価を覆す闘いだった。日本で首位打者を3度獲得した実績は信用されず、ポスティングシステムで入札した選手としては異例の入団テストを受けた。実力に半信半疑だったレネキー監督も「走攻守すべての局面で頼りになった。前半戦の働きぶりは素晴らしかった」と褒めちぎった。出場77試合で打率3割1厘、5本塁打、20打点、11盗塁。今やリードオフマンとして欠かせない存在だ。

 現時点で規定打席には「3」足りず、あと2~3試合の先発出場で到達する見込み。「とりあえず、前半戦はこういう成績だったということ。シーズンはまだ続くが、打率3割で折り返したいというのは頭にあった」と冷静だった。前半戦を終え、ダルビッシュ、黒田ら日本人投手は期待通りの活躍を見せたが、野手陣には明るい話題が少なかった。実績あるイチロー、松井が不振で、福留は戦力外、西岡はマイナー暮らし。そんななか、逆風をものともせず、補欠からチャンスをつかんだ青木の“下克上”は、実に痛快だった。