阪神藤川球児投手(32)が8日、FA宣言して、米大リーグ移籍を目指すことを発表した。米国内で7日(日本時間8日)に行われたGM会議の会場では、ドジャースなど複数球団が獲得調査していることを明かした。獲得に興味を示すエンゼルス、レンジャーズに加え、新たにカブス、レッドソックス、ヤンキースも移籍先候補に浮上。抑え投手の補強を狙う球団は多く、争奪戦に発展する可能性が出てきた。

 日本を代表するクローザーの名前は、大リーグ30球団が一堂に会したGM会議の会場でも話題になった。ドジャースのコレッティGMは今オフの課題としてブルペン強化を掲げ、「海外市場も視野に入れている」と発言。藤川の話題になると「もちろん、名前は知っているが、それ以上のことは語れない」と不敵な笑みを浮かべて報道陣をけむに巻いたが、これまでの熱心なスカウト活動から、獲得への意欲は明らかだ。

 エンゼルスのディポトGMも、実力を高く評価している1人だ。自身がレッドソックス、ダイヤモンドバックスでスカウトだった当時、日本に足しげく通った経験を持ち「自分の目で、何度も彼の投球を見たことがある」と研究済み。「個人のFA選手については何も言えない」と特定選手への言及を避けたが、好印象を抱いているとみられる。

 今季主力を大放出し、チーム再建中のカブス・ホイヤーGMは「投手陣の補強は必須」と話し、藤川も調査済みだと認めた。数日前には守護神マーモルのトレード話が浮上するなど、救援陣の改革にも本腰を入れている。また、レッドソックスのシェリントンGMは「日本で長い間クローザーとして活躍した優れた投手。大リーグでプレーする機会があることを確信している」と藤川を評価。06年の第1回WBC出場当時から調査を続けているという。

 ほかには、レンジャーズが獲得に興味を示していると地元紙で報じられた。今後の状況次第では、ヤンキースが参戦するかもしれない。ケガで今季を棒に振った守護神リベラは回復状況や42歳という年齢的な問題がある。代役で抑えを務めたソリアーノがFAで移籍した場合は、ブルペンが手薄になる。今年加入した黒田の成功で日本人投手を再評価しており、藤川をターゲットにしても不思議ではない。

 この日、藤川がFA権を行使して大リーグ挑戦を表明したことを受け、正式に獲得に名乗りを上げる球団が出てくる可能性がある。米球界での注目度は高く、争奪戦は必至。FA解禁をきっかけに、獲得をめぐる動きがさらに活発になりそうだ。(インディアンウェルズ=佐藤直子通信員)

 ◆求む守護神

 今オフも抑えを探すメジャー球団は多い。ア・リーグを制したタイガースは35セーブ(S)のバルベルデがFAに。ロイヤルズは右肘手術で今季を棒に振ったソリアとの再契約を見送った。レッズは38Sを挙げた左腕チャップマンの先発転向プランが浮上。またマーリンズは抑え失格のベルをDバックスに放出し、ドジャースの守護神ジャンセンは不整脈の体調不安を抱える。またセットアッパーでは上原、アダムス(ともにレンジャーズ)バーネット(ナショナルズ)ロドリゲス(ブルワーズ)ら実力選手がFAになった。