【ナッシュビル(米テネシー州)4日(日本時間5日)=四竃衛、佐藤直子通信員】レンジャーズからFA(フリーエージェント)となった上原浩治投手(37)に対し、レ軍のロン・ワシントン監督(60)が、国際電話で直接、残留要請を行った。古巣オリオールズとレ軍の間で一騎打ちの様相を呈してきた上原の争奪戦。前日、レ軍が通算160セーブのソリア(ロイヤルズFA)と契約合意したため、上原の移籍先は古巣が有力になったとみられた。だが、ワシントン監督は諦めていないどころか、即刻次の一手を打った。

 言葉の違い、時差を超えた異例の「直電攻勢」だった。ウインターミーティングに出席しているワシントン監督は「うちにとって最も大事なのは投手力。だから、コージには戻ってきてほしい。できる限りの努力はしたいと思っている」と話した。新戦力のソリアが故障明けで来年5月まで復帰できないという理由だけではない。昨季、故障で一時戦列を離れたものの、37試合に救援し、防御率1・75と抜群の成績を残した上原は、絶対に必要な存在。多忙なミーティングの合間を縫い、直接、電話で説得する案を実行した。

 しかも、東京で自主トレ中の上原の都合を逆算。現地の午後9時(日本時間5日正午)をメドに国際電話をかけ、約10分間にわたって残留を要請した。「いい話ができたと思う。まだいろいろな動きがあるらしいが、真剣に考えてくれると言っていた。あとは、コージが決断するだろう」。同監督にすれば、上原の家族がボルティモアに住み、テキサスでは単身赴任生活となるハンディは承知済み。だが、悲願の世界一のために上原の力は欠かせない。

 異例の電話交渉を行ったワシントン監督の熱い思いは日本まで届いたのか。最終判断は、上原に託されることになった。