年齢限界説を一蹴した。ヤンキースと再契約したイチロー外野手(39)が15日にほっともっと神戸で自主トレを公開した。今年10月に40歳の大台に乗るが「年齢のことを言われるのは、うっとうしい。時間は人間が勝手に決めたこと」とピシャリ。世界一が義務づけられた名門球団で「新たな覚悟」というシーズンが始まる。

 常識を上回る成功を収めてきたイチローは、時間の概念にも挑戦的だった。今年は「不惑」の域に突入する節目の1年だ。しかも重圧のかかる名門ヤンキースと2年契約を結んだばかり。報道陣から当然のように年齢に関する質問が飛んだ。

 イチロー

 ことさら、年齢のことを言われるのは、うっとうしい。こういう話は怖い話になりがちだけど、時間も人間が勝手に決めたこと。

 不振が続けば、限界説がささやかれる。プロ野球の世界では40代に突入すれば、体力の衰えもやむを得ない。しかしそんな常識をすんなりと受け入れなかった。

 この言葉が単なる強がりに聞こえない。自らが身を置く環境がそれを物語っている。昨年7月にマリナーズからトレードで移籍。世界一が義務づけられた名門球団のとてつもない重圧と緊張感を味わった。12月にヤ軍と2年契約を交わした。

 イチロー

 ヤンキースと契約して、新たな覚悟が生まれたのは、あの瞬間。(昨年の)後半にあのチームでやって、A・ロッドでも代打を出されるチーム。それが起こり得る唯一のチーム。そういうところに身を置ける。

 移籍当初は、慣れない左翼を守り、打順も8番で起用された。どんな名選手でも特別待遇はない。今年もレギュラー確保からキャンプは始まる。新たな刺激が、より若返らせる要素になっているのは確実だ。

 気温5度を切る神戸で、ランニングやキャッチボールで体を動かした。屋内練習場では45分間、バットを振った。打撃投手に5メートルの位置から投げさせ、鋭いスイングで打ち返していた。年が明けたばかりとは思えない体のキレだった。

 イチロー

 これまでもそうだし、新しいことを見つけるのは、第三者。僕がブレることはない。変わりはない。

 年齢による変化を探そうとする周囲の目は分かっている。相当な覚悟を胸に秘め、新たなシーズンに臨む。【田口真一郎】