<オープン戦:レンジャーズ8-14ホワイトソックス>◇26日(日本時間27日)◇アリゾナ州サプライズ

 レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が、2年目のオープン戦初登板でパーフェクト発進した。ホワイトソックス戦に先発し、2回を投げて無安打無失点で2奪三振。最速96マイル(約155キロ)。4番までメジャー選手をそろえたホ軍打線に1人の出塁も許さず、直球主体の28球で封じ込めた。左腕ハリソンとともに開幕投手候補に名前が挙がる中、上々の1歩を踏み出した。

 マウンド上のダルビッシュは自信に満ちあふれ、落ち着いていた。「紅白戦とは緊張感や場の空気が違うので、数カ月ぶりに気合が入った」。力みや気負いはない。ボールや環境など、慣れることに注力した昨年とは違って、打者6人に自分のペースで試合を進めた。

 全28球のうち、2番ベッカムへの初球を含めて3球が最速96マイル(約155キロ)を記録し、「真っすぐは良かったと思う」と振り返った。昨季25本塁打のリオスを二飛に仕留めるなど、シーズン中と変わらないような球威があった。変化球にはキレがあり、スライダーで空振りを奪い、ツーシームで詰まらせた。ワシントン監督は「どの球種もキレがあり、素晴らしい制球だ」と満足そうな笑みを浮かべた。

 昨季後半に変えた投球フォームも完璧に習得した。変更したころは、腰を突き出したり、グラブの位置を上げたり、意識しながらフォームを作っていたが、この春は立ち姿から投球動作終了までが無理なく、1つの自然な流れとなった。全身で生み出したパワーが、無駄なくボールへ伝わるようになっている。投げたいボールのイメージと、投げたボールの軌道の一致も「まだ完全ではないけど、だいぶいい」と及第点だ。

 精神面でも余裕が生まれている。3番リオスの打席で、2ストライクに追い込んでから、速球、スライダーをファウルで粘られた。この時、マウンド上から味方ベンチに向かって「どうしたらアウトを取れるんだ?」と、笑顔を見せながら両手を広げるジェスチャーを見せた。ワシントン監督は「去年はあり得なかったしぐさ。経験を積んで精神的に強くなっている」と、チームに溶け込んだ右腕に目を細めた。

 マダックス投手コーチが「今年は心身ともに最高の状態にある」とうなずけば、ダルビッシュも「去年のお客さんという感じから、チームメートになった感覚はありますね」と落ち着いた表情で話す。徹底したトレーニングで体重は100キロ前後をキープし、軽く投げやすくなった感覚があるという体と合わせ、心身ともに昨年から一段階レベルアップした。ジンクスとは無縁の2年目。メジャー初の開幕投手に向けて、着実に準備は進んでいる。【佐藤直子通信員】

 ◆ダルビッシュの球速◆

 移籍1年目の昨季も、初実戦となった3月2日の紅白戦で150キロ超の速球を連発した。同7日のパドレスとのオープン戦初登板では最速156キロをマーク。09年3月23日の決勝・韓国戦では日本人最速となる100マイル(約161キロ)を記録。