<レンジャーズ4-3レッドソックス>◇5日(日本時間6日)◇レンジャーズボールパーク

 【アーリントン(米テキサス州)=佐藤直子通信員】レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が、メジャー自己最多タイの今季2度目の14奪三振と快投した。レッドソックス戦で2回まで2発を浴びたが、最大42マイル(約68キロ)の緩急差を生かし、3回以降無失点で7回4安打3失点。チームのサヨナラ勝ちにつなげた。シーズン2度の14奪三振以上は、ア・リーグでは00年のP・マルティネス(レッドソックス)とムシーナ(ヤンキース)以来だ。

 レッドソックス打線のバットが面白いように空を切った。最速97マイル(約156キロ)のフォーシーム、切れ味鋭いスライダーとカーブで緩急をつけて、打者のタイミングを外した。象徴的だったのは、昨季バッテリーを組んだナポリとの対戦。6回の第3打席は95マイル(約153キロ)の直球で追い込んだ直後、メジャー移籍後最も遅い53マイル(約85キロ)のスローカーブで幻惑。フルカウントから見逃し三振で元同僚対決を制した。

 あと1死で完全試合だった4月2日アストロズ戦に並ぶ、自己最多タイの14奪三振。ただこの日も“魔の初回”につかまった。オルティスに内角高めの速球を右翼ポール際に先制2ランとされた。これで今季13失点のうち初回は9失点。2回にもロスにソロ弾を許したが、「『まだ3点。この後しっかりいこう』って、マインドコントロールっていうか、自分に言い聞かせることができていると思います」と切り替えた。

 3回以降は1安打投球で三塁を踏ませなかった。クイックモーションを使ったり、セットポジションに入るタイミングをずらすなど打者との駆け引きを工夫。本塁打後は封じられたオルティスも「一体何種類の変化球が投げられるんだ」と驚くばかりだった。6回終了時で球数は105球に達したが、7回も続投。メジャー自己最多の127球目で14個目の三振を奪うと、大きくほえてガッツポーズした。

 チームはベルトレの一打でサヨナラ勝ちし、同一カード3連勝で両リーグ勝率1位に並んだ。6勝目はならなかったが、ダルビッシュは「これだけ打ってもらって、また点を欲しがるのは、あまりにも厚かましいと思い、謙虚に投げていました」と笑った。会見でのやりとりに生まれた余裕が、心技体の充実ぶりをうかがわせた。