<ヤンキース4-2ブルージェイズ>◇21日(日本時間22日)◇ヤンキースタジアム

 ヤンキースのイチロー外野手(39)が、日米通算4000安打を達成した。

 -20年間で4000安打

 イチロー(以下イチ)

 ペースも僕の中では遅いんですよね。もうちょっと早くできたなって。日本でも最後出られない試合が2年くらい、20試合以上出られない時期があったんで、もったいないですよね。

 -区切りの4000本をどうとらえるか

 イチ

 大きな区切りが1000本に1回と考えれば、それを4回重ねられたことには満足しています。

 -5000安打は可能か

 イチ

 今年40になりますが、年齢に対する偏った見方がなければ、(可能性は)ゼロではない。

 -10年連続200安打を達成したとき、ピート・ローズの通算4256安打を「超えてあげたい」と言った

 イチ

 そんなにとんがってましたかね。いや、あのときは何かちょっと僕に対して挑戦的っていうか、そういう話を聞いたんですよね。でも実はそうではないらしいです。そういう自分を演じてるらしいですね、ピート・ローズさんは。それを聞いて、それはそれですごいなと思うし。ただ、僕は明日出られるかどうかは今日決まる、みたいな日々がずっと続いているので、そんなところに現段階でフォーカスすることはできないです。

 -チームには他にも偉大な記録を樹立している選手がいる

 イチ

 ヤンキースに来て思ったことは、その数字のこととかどうでもよくなるんですよ。どうでもよくなってジーターがショートにいて、マリアノが最後締める、そこで僕がライト、センターのときもあるかもしれないですけど、全体の絵としてそれがきれいにおさまるかどうかということが僕にとっては大事。実は数字よりも僕にとっては大切だったりする。

 -毎日出番がない、気持ちが不安定になる状況に、今どう打ち勝っているか

 イチ

 毎日同じことを繰り返す、厳密にいうとすべて同じではないんですけど、そういうことで自分を安定した状態に持っていくというテクニックはあると思います。ただ、それを毎日継続できたとしても精神が安定するとは限らないんですよね。

 -プロとしてやってきた中で考え方に変化は

 イチ

 自分が野球選手として、人間として成熟できてるのかどうか、前に進んでいるのかどうかということはいまだに分からないんですよね。野球とはこういうものだ、打つこととはこういうものだ、生きるとはこういうことだ、とかそういったことが、少しでも見えたらいいなとは思いますけど、現時点ではみなさんの前で発表できることはないですよね。

 -年齢とともに自分の中で変化してきたことは

 イチ

 昔できたことが今できないということは見当たらないんですよね。ちょっと白髪は増えましたけど、あとはどうですかね。まあ紅白歌合戦では演歌の方が良くなってきたっていうのはちょっとありますけど、なかなかね、疲れが取れづらくなったとか疲れやすくなったとか、足が遅くなったとか肩が弱くなったとか、今のところないようです。ないっていうと、またうっとうしいかな。ない“よう”です(笑い)。

 -だが周囲からはそう見られないことも

 イチ

 年齢に対する僕以外の人たちのとらえ方で煩わしいことはいっぱいありますよ。35を越えてくると生まれてきたんですけど、そういうことと戦うっていうことはとてもストレスなので、僕にとって。ない方が助かります。

 -野球人生の中でこれまで何かをあきらめる瞬間というのはあったか

 イチ

 きわどいとこきますね。これは、だめだな、言わない方がいいと思いますね。ちょっとややこしい言い方になりますけど、あきらめられないんですよ。いろんなことが。あきらめられないという自分がいることをあきらめる、ということですかね。

 -長く成績を残してもそこで満足せず続けている

 イチ

 いやいや、僕、満足いっぱいしてますからね。今日だってものすごく満足してるし。それを重ねないとだめだと思うんですよね。満足したら終わりだとかよくいいますけど、それは弱い人の発想ですよね。僕は満足を重ねないと次が生まれないと思っているので。