<レッドソックス6-3ブルージェイズ>◇20日(日本時間21日)◇フェンウェイパーク

 【ボストン(米マサチューセッツ州)=四竃衛】レッドソックスがブルージェイズに快勝し、2007年以来6年ぶりにア・リーグ東地区を制した。8回途中から救援した上原浩治投手(38)が、1回2/3を2安打無失点に封じ、今季20セーブ目を挙げ、日本人投手では01年の佐々木主浩(マリナーズ)に続く「胴上げ投手」となった。新天地で迎えたメジャー5年目。念願の世界一へ、第1関門をクリアした。

 両腕を突き上げる上原をめがけて、レ軍ナインが駆け寄ってくる。6年ぶりの地区優勝を待ち望んだ満員のファンが、総立ちで視線を注ぐ。野球人生初の「胴上げ投手」の最後は、時速81マイル(約130キロ)の宝刀フォークで空振り三振。「初めての経験なんで、なんか不思議な感覚でした」。高々とジャンプした細身の上原を押しつぶすかのように、巨体の男たちが次々となだれ込んだ。

 昨オフ、レンジャーズからFAとなり、レッドソックス移籍を決断した時点では、全くイメージできない瞬間だった。開幕前、セットアッパーとして期待された一方、クローザー候補では3番手。チームショップには名前入りTシャツも売られていなかった。それでも着実に結果を残し、信頼感とクローザーの座を勝ち取った。「ここまでできるとは思っていなかったです」。歓喜のスポットライトは、中身の濃い、充実した2013年へのご褒美だった。

 レ軍投手陣最年長ながら、この日で最多の70試合登板。27試合連続無失点、37打者連続凡退を記録するなどフル回転する中、防御率1・14と驚異的な成績を残せたのも、卓越したプロ意識あってのことだ。メジャー移籍した09年以降、幾度となく故障に悩まされたこともあり、毎日、ホテルに戻るたび肩、ヒジの電気治療は欠かさない。外食も休日前日ぐらいで、試合前後はほぼクラブハウス内で食事を済ませ、体を休ませることに専念。優勝の瞬間を見守った美穂夫人が「野球に打ち込む、あの姿勢はすごい。尊敬しています」と感激するほど、マウンドで結果を残すために、ひたすら心を砕いてきた。

 だが、地区優勝はゴールではない。「達成感を今持ったらダメ。本当にすべてが終わった時に得るものだと思います。振り返ることなく、また明日からやっていきます」。優勝の瞬間、マウンドに立つ快感を知った上原が、今回だけで満足するはずはない。

 ◆日本人メジャーの胴上げ投手

 地区優勝決定試合の最後に投げて胴上げ投手になったのは、01年佐々木(マリナーズ)以来2人目。佐々木は9月19日エンゼルス戦の9回を3者凡退。V決定時の先発勝利は95年野茂(ドジャース)07年松坂(レッドソックス)12年黒田(ヤンキース)が記録。

 ▼上原が今季70試合目の登板。日本人投手のシーズン70試合登板は04年大塚(パドレス=73試合)06年斎藤(ドジャース=72試合)に次いで3人目。また、シーズン20セーブをマークした日本人投手は00~02年佐々木(マリナーズ)06年大塚(レンジャーズ)06、07年斎藤(ドジャース)に次いで4人目。日本人最多は01年佐々木の45セーブ。