日本野球機構(NPB)と米大リーグ機構(MLB)の間で行われているポスティングシステム(入札制度)の改定交渉で、落札したMLB球団と選手との契約交渉が破談となった場合、球団側に補償金のペナルティーを科す新ルールの導入を検討していることが29日、分かった。細部を詰めた上で近く合意に達する見通しで、日本シリーズ終了後から新制度の運用がスタートしそうだ。

 NPB側は、落札した球団がリスクを負うことなく選手との交渉を有利に進められる旧制度の問題点を指摘。過去に破談となった岩隈(楽天→アスレチックス)、中島(西武→ヤンキース)と同様のケースが起こらないような改正を強く要望した。当初は選手が複数の球団と交渉できる案も検討されたが、現在は破談となった場合に米球団にペナルティーとして補償金を支払うルールを設ける方向で最終調整しているという。

 また、入札金が必要以上に高騰することを避けたい米側に配慮する措置も盛り込まれそうだ。最高入札額を提示した球団が独占交渉権を獲得する従来の方式に変更はないが、日本の球団に支払われる額を入札額1位と2位の間とするもの。単純に中間の値を取るのではなく、入札額の大小や差額によって変動する方式が検討されている。

 ◆過去の難航ポスティング

 10年オフ、アスレチックスが1910万ドルで楽天岩隈(現マリナーズ)との独占交渉権を獲得し、4年1525万ドルを提示したが合意には至らず、98年の制度創設以来初めて破談に。11年オフはヤンキースが西武中島(現ア軍3A)を250万ドルで落札も、年俸は3分の1以下で1年契約とされた低評価により契約に至らなかった。同オフはブルワーズもヤクルト青木を250万ドルで落札し、契約交渉前に入団テストを課した。