ポスティングシステム(入札制度)の新制度が日米間でほぼ合意に達したことが4日、分かった。この日、日本野球機構(NPB)と米大リーグ機構(MLB)の担当者が電話会議を開き、入札金に2000万ドル(約20億円)の上限を設ける案がまとまったとみられる。また、複数が上限額で入札した場合、そのすべての球団と交渉できる制度となる見込み。今日5日の日米協議で細部を詰めた上で正式発表される。楽天が田中将大投手(25)のメジャー挑戦を容認すれば、空前の大争奪戦が繰り広げられることになりそうだ。

 新入札制度を巡る日米交渉が破談の危機にひんしてから約1カ月。ようやく楽天田中にメジャー挑戦の道が開ける。この日の約1時間半に及ぶ電話会議で、一時は隔たりがあった日米間の距離がグッと縮まった。NPB井原事務局長は交渉中であることを理由に具体的な内容には触れなかったが、大きな進展があったことを示唆した。「交渉はゴールに近づいているか?」の問いに「その通り」と答え、「前に進むことができた1日であるということは間違いない」と、手応えを口にした。

 NPBは3日の代表者会議でMLBから要望があった「20億円上限案」について話し合った。楽天だけが難色を示す中、賛成多数で受け入れる方針を決めた。電話会議で米側にこの内容を伝えたことで、停滞していた協議は前進した。国内で制度への賛否が分かれていたMLB側の意見がここにきて1つにまとまり始めたことも、追い風となった。

 MLB側は落札額を低く抑えて資金力の乏しい球団も入札に参加できるような制度を希望。上限20億円の設定は譲れない条件だったとみられる。しかし、NPBも一方的に押し切られたわけではなく、譲歩を勝ち取った。複数球団が上限額で入札した場合、選手はその全球団と交渉できるようになる見込みだ。破談のリスクを避けたいNPB側にとっても十分にメリットのある内容といえる。

 正式に合意すれば、日本の選手にとって魅力的な制度となる。入札額に上限が設けられることで、年俸が必要以上に抑えられる心配はなくなる。さらに、これまでのような独占交渉権ではなく、複数の球団から「選べる」制度に変わることが何よりも大きい。田中が入札にかけられれば多くの球団が20億円を投じて名乗りを上げることは確実。過去に例のない争奪戦が展開されそうだ。