マー君のメジャー挑戦のハードルが、少し下がった。楽天は7日、仙台市内の球団事務所で立花陽三社長(42)ら球団幹部による会議を開き、田中将大投手(25)のメジャー挑戦について話し合い、本人の意思を尊重することをあらためて確認した。4日に日米間で基本合意した新ポスティングシステム(入札制度)での移籍について、容認するという結論には至らなかったが、新制度に強い難色を示していた当初よりも、やや軟化した姿勢を示した。

 幹部会議を終えた立花社長は、開口一番「数人で話し合いをしました。非公式ですが。『あいつ(田中)の意思を確認しよう。(メジャーに)行きたいなら、行かせてやりたい』と」と言った。これだけなら、メジャー挑戦容認と解釈できる。だが、すぐに「彼のフェアな価値がいくらか、という話をずっとしている。(ポスティングシステムに)上限がなければ、20億円より高いという数字が確認できた。困りましたね」と続けた。

 アメリカの野球アナリストなどに、メジャー市場における田中の価値をはかるよう依頼。第三者による試算でも、新システムでメジャー球団から日本球団に支払われる上限額の約20億円よりも、はるかに高い数字が出た模様だ。“フェア”ではない価格で、エースを手放していいのか。苦渋の色を浮かべた同社長は「残って欲しいのが一番です」と言った。まずは、残留要請に力を注ぐ。

 新制度では、日本の球団が2000万ドル(約20億円)を上限に“移籍金”を決定し、それに応じた全球団に交渉権が与えられるというもの。過去に旧制度で移籍した松坂やダルビッシュのケースでは、落札額は5000万ドルを超えた。

 一方で、「(本人が)行きたいなら、行かせてやりたい」とも言った。ポスティング申請しない可能性にも言及していた当初より、軟化した。次の焦点は、同社長と田中の話し合いに移った。同社長自ら「彼(田中)との話し合いが最重要」とした。これまで、メジャー挑戦について発言を控えている田中だが、話し合いの場で、どれだけ熱意を伝えられるかがポイントとなりそうだ。

 同社長は、米国のウインターミーティング出席のため、10日に渡米することを決めた。田中と話し合う日程については「一番遅くて10日の朝。(それまでに新しい)制度ができていなければ、やらないかもしれませんが」とした。早ければ今日8日にも、話し合いの場を持つとみられる。