<レンジャーズ1-0アストロズ>◇11日(日本時間12日)◇グローバルライフパーク

 【アーリントン11日(日本時間12日)=佐藤直子通信員】レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)が得意のアストロズを相手に、またも快投を披露した。5回まで完全投球を演じるなど、8回を1安打1四球で無失点。3回に右手親指の背の部分を切るアクシデントに見舞われながら9三振を奪い、開幕からの連続無失点を15回とした。打線の援護なく勝利投手こそ逃したが、オープン満20周年の記念日だった本拠地で、エースの貫禄をみせた。

 6回先頭ドミンゲスの打球が中前へ抜けると、スタンドから大きなため息が漏れた。完全試合を崩されても、ダルビッシュは「(無安打は)まったく意識してなかった。点を取られないように」と集中力を失うことはなかった。3回にはグロスマンを77マイル(約124キロ)のカーブで空振り三振に仕留めた際、右手親指の背に爪が当たって出血。ぬぐい取った血でユニホームを汚しながら力投し、許した走者はこの安打1本と、7回2死から4番アルテューベに与えた四球の2人だけだった。

 序盤は「コントロールがよかったし、結構走っていた」と最速97マイル(約156キロ)のフォーシームでコーナーを突き、変化球はスライダーを中心に攻めた。打者2巡目からは、それまでア軍相手には少なかったチェンジアップを織り交ぜた。「左打者に対して(配球を)ちょっと考えさせることができた」と効果的なアクセントになった。前回初登板と同じく制球も安定し、3ボールは2回しかなく、8回を101球という理想的な球数だった。

 あとは打線が上向くのを待つしかない。前回は8回に自軍が均衡を破って白星を手にできたが、この日は0-0で降板した。昨季は4度も0-1のスコアで敗れるという悲運を味わっており、今季も打線とかみ合わせの悪いジンクスに泣かされる。それでもア軍戦では昨年も、4月2日は9回2死まで、8月12日は8回1死まで無安打投球を演じた。相性の良さを知る地元ファンは立ち上がりからアウトのたびに、異様な盛り上がりを見せていた。ダルビッシュも「こういうピッチングが毎試合できればいいと思う」と手ごたえを口にした。規定投球回をクリアして開幕から無失点は両リーグ2人だけ。防御率0・00で早くもア・リーグ単独1位に立った。