<レイズ11-5ヤンキース>◇18日(日本時間19日)◇トロピカーナフィールド

 ヤンキース・イチロー外野手(40)が、またしても「チャレンジ」を呼んだ。レイズ戦に「9番右翼」でスタメン出場。2回表無死二塁から三塁前へセーフティーバントを試み、1度はアウトと宣告されたが、ビデオ判定が覆り内野安打。自身3度目はすべて“全勝”となった。

 「アウト」のコールを受けたイチローは、「審議中」にベンチへ戻ると、潔くヘルメットを脱ぎ、守備用の帽子にかぶり直していた。3点を先行し、なおも2回表無死二塁。三塁前へバントでゴロを転がす。一塁ベース上の微妙な判定となり、アウトが宣告された。しかしジラルディ監督がビデオ判定を要求し、結果は、「セーフ」に覆った。再びヘルメットを着けると、表情を変えることなく、小走りで一塁ベースへ向かった。

 出場機会が減った今季、スタメン出場7試合目にして、早くも3回目の「チャレンジ」。すべてが自身の“味方”となった。試合後、「(4日の)トロントの時に似てたかな」と話したが、際どいプレーが正確に判定されることに、悪い気がするはずもない。右翼の守備でも、右中間の飛球に対し、全身を伸ばしてジャンピングキャッチの美技を披露。スピードが豊かだからこそ、紙一重のプレーを魅せることができるのが最大の持ち味。今季、早くも2本の安打を「得」したが、過去にアウトになった安打が「何百本あったかな」と4日コメントしていたが、この日あらためて「あれは冗談じゃないよ」。“3連勝”しているだけに、まんざら冗談には聞こえない。【四竈衛】<イチローとチャレンジ>

 ▼4月4日ブルージェイズ戦

 3回表2死二塁から放った二塁への打球が、一塁で「アウト」とコールされたが、再審議で「セーフ」となり内野安打。逆転劇につながり、ヤ軍田中のメジャー初勝利につながった。

 ▼同6日ブルージェイズ戦

 6回表1死から二盗。「セーフ」の裁定に、ブ軍ギボンズ監督がチャレンジしたが、判定は覆らなかった。<3度以上はダメ

 18日までに106件>

 ◆大リーグ今季からのビデオ判定

 昨季まで本塁打限定だった適用範囲が拡大され「ストライクかボールか」「スイングしたかどうか」などを除くほとんどのプレーが対象になった。監督はビデオ審議を求める「チャレンジ」の権利を持ち、判定が覆った場合は2度目の要求が可能になる。3度以上は求められないが、7回以降に責任審判員が必要に応じ利用することもある。大リーグ機構はニューヨークのスタジオで映像を確認し、1分半をめどに最終的な判定を伝える。18日までに権利が行使されたのは計106件。そのうち36・8%にあたる39件で判定が覆った。