<アストロズ8-9マリナーズ>◇3日(日本時間4日)◇ミニッツメイドパーク

 マリナーズ岩隈久志投手(33)が今季初先発を初勝利で飾った。7回途中6安打4失点。1月の自主トレ中に右手中指を負傷し、約1カ月遅れの今季初登板に「やっと戻ってこられた」とホッとした笑みを浮かべた。

 メジャー通算50試合目の先発は、昨年9月25日以来220日ぶりのマウンドに「もちろん緊張しました」。ブランクを感じさせない投球でアストロズ打線を攻めた。3回こそ、内野安打、三塁打、犠飛とわずか3球で2点を失った。その後は捕手と投手コーチと投げ急がないことを確認し、流れを断ち切った。

 シンカーを軸としながらスライダーとスプリットで打たせて取るスタイルも健在だ。5回はわずか6球で終了するなど、7回2死まで81球でしのいだ。今季から就任したマクレンドン監督は「なんて効率のいい投球なんだ」と昨季14勝右腕に目を丸くした。

 投球練習が禁止された6週間は、タオルを使ったシャドーピッチングで肩の強化に努めた。投げられない悔しさやもどかしさもあったが、それ以上に「チームに迷惑をかける」と責任を感じていた。はやる気持ちを抑えつつ、慎重に段階を踏みながら復帰準備を進めた。

 だが、開幕から調子の上がらないチーム事情も手伝って、マイナーでの実戦登板はわずか1度。不安は否めなかったが「少しでも早くチームに貢献したい」と奮起。「本当に集中して、気持ちもすごく入っていた」と力投した。

 好投にこたえるように打線が7回に8点を奪い逆転。最後は1点差に追い上げられる波乱の展開。なんとか逃げ切っての辛勝にも「ドキドキしたけど、仲間を信じて祈っていました」と終始笑顔だ。「やっとスタートできたと思います」。戦力としてチームに貢献できる喜びをかみしめた。【佐藤直子通信員】