<ナショナルズ0-2レンジャーズ>◇1日(日本時間2日)◇ナショナルズパーク

 【ワシントン=佐藤直子通信員】レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)が8回無失点の快投で、今季5勝目(2敗)をマークした。寝違いによる首の張りを訴えて5月27日ツインズ戦の先発を回避した直後だったが、周囲の心配もなんのその。今季自己最多となる12奪三振を記録し、防御率をヤンキース田中将大投手(25)の2・06に次ぐリーグ2位の2・08とした。

 気温24度と初夏の日差しが心地よいマウンドで、ダルビッシュは涼しい顔でアウトを重ねた。5日前に寝違えによる首の張りで先発回避した気配さえ見せない。打者1巡目は最速96マイル(約155キロ)のフォーシームでコーナーを突き、2巡目からツーシームとカットボールでバットの芯を外す投球。初対戦だったナ軍打線が術中にハマった。

 今季最多タイの12奪三振中、敵地が最も沸いたのは4回ラローシュとの対戦だった。ツーシームとカットで追い込んだ3球目、大きく弧を描きながらリリースされたボールは捕手ジメネスのミットに吸い込まれる。時速59マイル(約95キロ)のスローカーブで見逃し三振。身動きすら取れなかったラローシュは「球が滑ってバックネットへ暴投かと思ったら、急降下してストライク。脱帽するしかない」と苦笑い。相手も賛辞を贈るしかなかった。

 今季2度、寝違えによる首痛を発症しており、ダルビッシュにも不安があった。「昨日の夜は寝るのが怖くて20回は起きましたね。『寝違えてないよね』って感じで。全然寝られなかったです(笑い)」。1年ぶりに立った打席では、普段とは違ったリズムの展開に「ちょっと疲れる部分があった」と明かすが「ちゃんと本業(投球)で(貢献)できたのでよかったと思います」と笑顔でうなずいた。

 防御率2・08はヤ軍田中の2・06に迫った。田中が11戦連続で継続しているクオリティースタート(6回以上自責点3以下)も、今季10試合中9試合。日本の先発投手が高いレベルで競い合っている状態に「みんながいい方が日本の評価が良くなる。頑張って欲しいなと思っている」と話す。過去2年連続で球宴に選出されている先輩として意地もある。次回予定7日インディアンス戦で、防御率1点台に到達するか注目される。

 ◆日本人投手の防御率上位争い

 最近では昨年の黒田(ヤンキース)が8月17~22日にア・リーグトップに立った(最終11位)。過去最高順位は95年野茂(ドジャース)の2位で、この時の防御率2・54は日本人規定到達のベスト。10傑以内に2人が食い込んだのは昨年のア・リーグ3位岩隈(マリナーズ)2・66、4位ダルビッシュ(レンジャーズ)2・83の1度だけ。