<ヤンキース6-4ブルージェイズ>◇25日(日本時間26日)◇ヤンキースタジアム

 「イチ弾」で4連勝だ。ヤンキース・イチロー外野手(40)が、ブルージェイズ戦で今季1号となる逆転3ラン。試合前まで通算打率4割2分1厘と得意にしている左腕バーリーから、高めに抜けたスライダーを右翼席にたたき込んだ。メジャー14年目で最も遅い1号は、今季の日本人メジャー初アーチでもあった。

 ベースを回りベンチに戻ったイチローを待っていたのは、主将ジーターのちゃめっ気たっぷりな祝福だった。にらむような視線を送っていたジーターが、ハイタッチの瞬間に突然笑顔になり、周囲の選手も大爆笑。ジーターには普段から打撃練習中に「1発が出ないね」と冗談でからかわれていた。「ジーターは分かってやっている。楽しいですよ」と話した。

 3回、1点差に迫りなおも1死一、二塁。打ったのはバーリーの内角寄り高めに抜けたスライダーだった。甘く入ったボールを十分に引きつけて、一気に体を回転させた。今季89試合目、245打席目にようやく出た1発に、ホッとしていた。昨年8月30日のオリオールズ戦以来、実に321打席ぶりとなるアーチ。「いや~、ゼロでなくて良かったという感じです。イッテ~、という感じ。そこはカタカナですから」と笑った。今季はチーム事情から左投手相手はスタメンに入れない試合が続く。相性がいいにもかかわらずバーリーとは昨年5月以来の対戦。「いや、本当ですよ。対戦の感覚ちょっと忘れてましたけどね」と、しみじみ話す場面もあった。

 この1発がチームと黒田に白星をもたらし、チームは4連勝。イチローは「最終的に勝つチームにはいろんな勝ち方が必要なので、それはいいことだと思います」と静かに言った。粘り強くなったチームにジラルディ監督は「大きな3ランだった。イチはずっと前から優れた打者だからね。我々にはこういう力がある」と勝利を喜んだ。【水次祥子】

 ▼イチローが今季初本塁打。チーム102試合目は11年の80試合目を超え、大リーグ移籍後最も遅いシーズン1号となった。これでプロ2年目の93年から、日米を通じて22年連続で本塁打。日本で22年以上の連続本塁打は8人だけで、最長は谷繁の26年連続。22年連続は王、大島、立浪、山崎武に並んだ。イチローの打順7番での本塁打は、日米を通じ初。大リーグで本塁打がない打順は4、9番だけとなった。今季の日本人ではイチローが初本塁打。99年以来の日本人本塁打0を免れた。