<マリナーズ4-1ホワイトソックス>◇8日(日本時間9日)◇セーフコフィールド

 岩隈、年俸7億円で残留決定-。マリナーズ岩隈久志投手(33)が、2年連続2桁勝利を挙げた。ホワイトソックス戦に先発し、7回5安打1失点と好投し、10勝目(6敗)をマークした。と同時に、今季の投球回数が132回1/3となり、昨季との2シーズンで合計350回をクリア。球団が持つオプションが自動更新されることになり、来季は年俸700万ドル(約7億円)でマ軍に残留することが決まった。

 投球内容は不満でも、残った結果は、素直に喜んでいい数字だった。先制されながらも、今季10個目の白星を手にした岩隈は、少しだけ、はにかむように言った。「変化球も全部悪かった。ただ、2桁勝利できたのは自信にもなります。何とかチームに貢献できてるのかなと思います」。昨季14勝に続く2年連続の10勝到達。本調子でなくても、7回1失点をわずか90球でまとめる投球こそ、岩隈の真骨頂だった。

 2桁勝利だけでなく、今季最初のノルマもクリアした。12年オフ、2年契約を結んだ際、球団オプション(選択権)として、2シーズン合計350イニングで2015年は年俸700万ドル(約7億円)となる条項を盛り込んだ。今季は、右中指痛で開幕を故障者リスト(DL)で迎えたものの、この日の5回終了時で到達。早々と来季残留が決まった。「そうでしたっけ?

 まったく忘れてました」。来季の大型契約を気に留めないほど、目の前の試合に集中していた。

 10年サイ・ヤング賞のエース、ヘルナンデスのように、派手な奪三振ショーで圧倒するわけではない。だが、1試合平均四球はリーグ最少の0・75で与死球0。超一流のクイックで、今季は1つの盗塁すら許していない。スプリットを武器にしながら暴投は0。抜群の制球力に加え、打者心理を読んだ冷静な配球や微妙にタイミングを変える駆け引きで、アウトを重ね、イニングを刻んできた。

 今季はメジャー3年目で初めてプレーオフ進出を争う充実感が、岩隈の背中を後押しする。今後は中4日でフル回転する可能性も十分にある。「やりがいがあるのは感じます。負けられない状態なので、しっかり調整して、また勝っていけるようにしたいですね」。熟成期から完成期へ-。マ軍にとって01年以来となるプレーオフ進出へ向け、岩隈の投球術に、脂が乗ってきた。【四竈衛】<日本人10勝3人>

 ▼岩隈が昨季(14勝)に続く2桁勝利。これで今季の日本人投手は田中(12勝)ダルビッシュ(10勝)に次いで3人目の10勝となった。日本人投手の2桁勝利3人は99、02、13年に並ぶ最多。

 ▼日本人投手の今季勝利数は区切りの50勝目(田中12、ダルビッシュ10、岩隈10、黒田7、上原5、松坂3、田沢2、和田1)。日本人投手のシーズン50勝は02年(62勝)13年(51勝)に次ぐ3度目で、8月中の到達は02年以来12年ぶり。