【トロント(カナダ・オンタリオ州)29日(日本時間30日)=水次祥子】右肘靱帯(じんたい)の部分断裂で故障者リスト入りしているヤンキース田中将大投手(25)の復帰プランが、大きく後退した。28日の実戦形式登板から一夜明け、右腕全体の張りを訴え、今後1週間は投球練習や実戦登板を取りやめることが決まった。ここまで順調にリハビリメニューの階段を上がってきたが、復帰は早くても9月20日以降になる可能性が高くなった。

 実戦形式で49球を投げてから一夜明け、ヤンキース田中が復帰先送りを決断した。「もう少し強化が必要だというのは自分の中で感じた」と右腕の張りを首脳陣に伝え、1週間は本格的な投球を回避することになった。次のステップは9月2日に実戦形式でさらに球数を増やす方針だったが、少なくとも4日までは投球を行わない見通しだ。

 順調なら9月中旬のメジャー復帰を視野に入れていた。1週間の「ブランク」ができることで、徐々に投球のハードルを上げていくという手順を再び踏む必要があり、復帰は同下旬までずれ込むことが確実。同28日には公式戦が終了するため、残された時間もわずか。ヤ軍がプレーオフ進出を逃せば、復帰戦が今季最終登板となるかもしれない。

 状況的に残りシーズンの休養に踏み切ってもおかしくないが、田中は「ここまで順調にきていた中なので、もちろんそれ(復帰)は頭に入れて進めていきます」と強い口調で話した。ジラルディ監督も「特定の箇所を痛めているということではない」と肘は問題ないとし、「少し遅れはするが、今季中に復帰すると期待している」と話した。首脳陣の構想では、メジャーの試合で投げることで肘の状態を確認し、手術不要で来季も投球可能なのかを見極めたい意向が働く。たとえプレーオフが絶望となっても、ぎりぎりまで復帰の可能性を探りそうだ。

 田中は今日30日、遠征先トロントからチームを離脱してニューヨークに戻り、筋力強化などのトレーニングを1週間行う予定。9月2日には、担当医の診察を受ける予定が入っており、今後のリハビリ日程の方針が示されそうだ。田中は「自分としては、この1週間で変えられるのではないか」と、投球再開に自信を見せた。