【ニューヨーク(米ニューヨーク州)6日(日本時間7日)=水次祥子】ヤンキースのイチロー外野手(40)が、テニスの全米オープンで決勝に進出した錦織圭(24=日清食品)の快挙を熱く語った。同大会はヤ軍の本拠地があるニューヨークで開催されており、球場入りまで自宅で準決勝をテレビ観戦。弓子夫人が錦織と同じ島根・松江出身という縁にも親近感を抱いており「いやぁ、すごいね。今日はもう、オレのことなんてどうでもいいよ」と賛辞が止まらなかった。

 イチローの口調が熱を帯びた。2安打を放ったロイヤルズ戦の試合後、錦織の話題を振られて「見たよ」とうれしそうに語り始めた。「いやぁ、すごいね。すごいという表現はちょっとダサいけど、気持ちがいいね。だって圧倒してるもん」と世界1位を撃破した堂々たるプレーに、興奮を隠せない様子。「もう、オレのことなんてどうでもいい」と、勝利に導くダメ押し適時打を放ったことなども忘れていた。

 この日は午後4時からの試合だったため、最初は自宅で観戦した。「1セット取って、2セット終わったくらいかな、家出てきたのは」。本拠地ヤンキースタジアム入りした際には、テニスシューズで有名なスタンスミスの白地に紺のスニーカーを素足に履いてきたほど、テンションが上がっていた。到着後も錦織の試合は続いており、決着がついたのは試合前練習が終わり、クラブハウスでくつろいでいるときだった。「相手は1位でしょ。なんかこう、素人が見てても、翻弄(ほんろう)してるもんね。いやー、気持ちいいっすよ。冷静な感じもいいね」と目を細めた。

 錦織との面識を聞かれると「ないない。でも、松江出身らしいね。それでちょっと僕にとっては、特別な思いがね」と明かした。弓子夫人が同郷の関係で、松江市を何度も訪れているという。「松江の人たちどうしてるんだろうね。体育館とかに集まったりしてるのかな」と、知人らの顔を思い浮かべた。同じ海外を舞台に戦うアスリートとして、錦織の快挙を心から喜んでいた。