<日本プロ野球80周年記念試合:阪神・巨人連合7-8MLB>◇11日◇甲子園

 メジャーのパワーが“聖地”を席巻した。阪神・巨人連合との記念試合で、MLBオールスターのエバン・ロンゴリア内野手(29=レイズ)が中堅右へ満塁弾を放つなど豪快な3発で圧倒。日本プロ野球が創設された1934年の日米野球では、来日したベーブ・ルースでさえ本塁打を放てなかった広い甲子園球場。80年の歴史を経て、大きな壁を打ち破った。今日12日の日米野球初戦(京セラドーム大阪)で侍ジャパン相手に真剣勝負を挑む。

 ロンゴリアは2死満塁で、待つことはなかった。2点リードの5回表。4番手・江柄子が投じた初球の変化球を、振り抜く。舞い上がった打球は、中堅右に吸い込まれる満塁弾。塁上にいたアルテューベ、ファウラー、エスコバルに本塁で迎えられ、三塁側ベンチに戻る。喜びを隠すこともなく、笑顔でナインとハイタッチをかわした。

 広い球場での1発に「いい球をしっかりと飛ばすことが出来た。最初の試合になった大阪で、大きな当たりを打てて気分がいい」と振り返った。メジャー昇格した08年には三塁に据えるため、当時レギュラーだった岩村を二塁にコンバートさせるほど将来性を見込まれた。今季は全試合に出場し、メジャー通算184本塁打。日米野球中に婚約者が出産予定にもかかわらず、参加を取りやめなかった責任感を持つ。

 序盤は時差ぼけ気味だった打線が、目覚める。6回にはワールドシリーズでジャイアンツ・バムガーナーから1発も放ったペレスがバックスクリーンへ。7回にはファウラーが同じように中堅にたたき込んだ。日本プロ野球創設の80年前に開催された日米野球では、ベーブ・ルースさえ本塁打を放てなかった甲子園で、メジャーのパワーを惜しみなく見せつけた。

 ファレル監督も満足げだ。「これ以上望むことができない試合ができた。野手全員を起用できたし、ブルペンも多く使えた。今日の阪神・巨人連合チームに勝負強さを見せられたし、プレッシャーをかけ続けることができた。最初で戦う試合としてはこれ以上のものはない」。今日12日からは日米野球で侍ジャパンと対戦する。長い歴史を経てたどり着いた世界最高峰の野球で、侍斬りに出る。【今井貴久】

 ◆1934年の日米野球

 ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ、ジミー・フォックスらを擁したMLB選抜が来日。11月4日から約1カ月間で、日米混成による2試合を含む18試合を行い、米国が16戦全勝した。ただし、当時17歳の沢村栄治が投げた同20日(静岡草薙)の第10戦だけは1-0の辛勝だった。沢村は7回にゲーリッグに決勝ソロを許したが、5安打9奪三振で完投。米本土に「スクールボーイ・サワムラ」の名を浸透させた。