ヤンキースの元同僚である松井秀喜氏(40)とデレク・ジーター氏(40)が、来年3月下旬に日本国内で野球教室を行うことが10日、分かった。時期は3月27日のシーズン開幕直前、場所は東京ドームを候補に調整を行っている。同じ年の2人は、盟友として絆が非常に深い。多忙なスケジュールを縫って、松井氏のふるさとで「世界一受けたい授業」が実現する。

 こんなに胸躍る野球教室は、後にも先にもないだろう。松井氏が、ジーター氏と一緒に東京ドームに帰ってくる。ともにヤンキースのピンストライプをまとって戦い、苦楽を共にした同い年。松井氏は、今季限りで引退した盟友を心から尊敬している。今夏に「ジーターを日本に連れて行きたい」と発言し、ジーター氏も「ぜひ行きたい」と呼応して喜んだ。2人の間で交わしていた約束が、ついにかなう。

 来年3月下旬、シーズン開幕直前の実施を軸に調整を重ねている。すべての野球ファンが「いよいよシーズンが始まる」と高揚する時期に、2人の共演は最高の追い風になる。加えて3月は、日本にとって、特別な意味を持つ。

 2011年3月11日の東日本大震災から、来年で4年を迎える。日米の雄からの直接指導は、少年少女にとって最高の宝物になる。優しい2人が「あ、うん」の呼吸で行うアドバイスも注目される。将来の日本をしょって立つ子どもたちの指針となる、野球の枠を超えた金言も授けてくれるはずだ。

 引退後も多忙な両人が、日本で再会する。そこに深い絆がある。松井氏は来季、生活拠点である米国に軸足を置き、自己研さんを積む予定でいる。年明け後は米国に戻る予定で、今季巨人で務めたキャンプでの臨時コーチも、現在のところ要請を受けていない。ジーター氏もスケジュールが詰まっており「ヒデキとなら」と一肌脱ぐ格好だ。

 長い時間をかけて育んだ友情が海を越え、日本で再び交わる。松井秀喜とデレク・ジーターにしかできない方法で、次世代への懸け橋となる。

 ◆松井氏と野球教室

 プロ1年目の93年から、毎年オフにジャイアンツ球場で選手会の野球教室に参加。1年目は小、中学生を指導し「教えるのって難しい」と話したが、2年目には「打者にはいろいろなタイプがありますが、大事なのはフルスイング」と力説。セ・リーグ東西対抗前の野球教室にも参加。97年は「僕も10回打って7回は失敗します。だから失敗を気にせず、楽しく野球をしましょう」。ヤンキース移籍後は東京ドームや故郷の根上町(現能美市)で開催。今年10月にはニューヨーク郊外で行った。