【サンフランシスコ(米カリフォルニア州)20日(日本時間21日)=四竈衛】ロイヤルズからFA(フリーエージェント)となっていた青木宣親外野手(33)が、ジャイアンツと正式契約を交わし、本拠地AT&Tパークで記者会見を行った。背番号はロ軍時代と同じ「23」に決定。昨季、ワールドシリーズで敗れた相手へ移籍し、悲願の世界一へ再出発する。

 新人ではない、メジャー4年目の「ベテラン」としては、異例の会見だった。青木の入団会見には日米報道陣約40人、テレビカメラ9台が並んだ。さらに、共同オーナーのラリー・ベアー氏らも同席。1年契約で年俸400万ドル(約4億8000万円)プラス出来高。2年目はオプションで、今季550打席に到達して青木が希望すれば、来季年俸550万ドルで契約が更新されるという。オプション破棄なら70万ドルのバイアウト(違約金)も付いた。条件面を含め、それほどジ軍の期待度は高い。

 そして青木はジ軍を選択した明確な理由を口にした。「伝統のある球団。ワールドシリーズ(WS)を含め、チーム一丸でやっている。本当に強く、また世界一を狙えるチーム。それが決め手になりました。家族にとっても、今まで以上にやりやすい。ただ、一番は強いということです」。本拠地サンフランシスコには在留日本人も多く、食生活や住環境としても申し分ない。一方で、ブルワーズに所属した2年目まで同一リーグで対戦し、昨季はWSで相まみえたジ軍の野球スタイルと底力こそ、青木にとって最大の魅力だった。

 背番号は「23」に決まった。ヤクルト入団直後に背負い、日本が連覇した09年WBCで、WSに進出した昨季も背負った「ラッキーナンバー」。「愛着もありましたし、縁起のいい番号だったので」。新天地では左翼のレギュラーを期待されるものの、打順は定まっていない。ただ1番パガンが故障がちで、青木自身が望む切り込み役としての起用法もありそうだ。

 「個人的にはキャリアハイ(自己最高)の成績を残したい。すべてにおいて自分にとってフィットできると思います」。真新しいユニホームに袖を通した青木の表情は穏やかながら、いつも以上に引き締まっていた。

 ◆青木の背番号

 ヤクルト入団時は23。10年から若松、池山、岩村がつけた伝統の1に変更。ブルワーズでは23、1ともに埋まっており、7番に。ロイヤルズに移籍した昨季は23。WBCでは第1、2回ともに23をつけた。

 ◆ジャイアンツで背番号「23」をつけた主なOB

 最も有名なのはボビー・トムソン外野手。51年、ドジャースとのナ・リーグ優勝決定戦で2-4の9回、ブランカ(元ロッテのバレンタイン監督の義父)から逆転サヨナラ3ラン。8月に首位と13・5ゲーム差からの逆転優勝をもたらしたこの1発は、有名な詩から引用された「Shot

 Heard

 `Round

 the

 World(世界中が耳にした1発)」の名文句とともに語り継がれている。また58~63年には、アルー3兄弟の長兄フェリペも付けた。63年には3兄弟でジ軍の外野3ポジションを守った。