ヤンキースからFAとなっていたイチロー外野手(41)がマーリンズと1年契約で合意したと23日(日本時間24日)、MLB公式サイトが伝えた。

 身体検査に通れば週明けに正式契約を結ぶ予定で、年俸は200万ドル(約2億4000万円)。16年の契約延長オプションはなく、背番号はオリックス、マリナーズ時代と同じ51となる見込み。

 大リーグ15年目を迎えるイチローは、マリナーズ、ヤンキースに次いで3球団目の所属となるが、DH制のないナ・リーグは初めて。マ軍側も日本人の加入は初で、大リーグの全30球団で日本人未所属はレッズだけとなった。

 マ軍は、右翼に昨季ナ・リーグ本塁打王のスタントン(25)、中堅に23本塁打のオズナ(24)、左翼に21盗塁の俊足イエリチ(23)とメジャー屈指の外野陣を誇る。しかし、いずれも若く、第4の外野手として経験豊富で外野の全ポジションを守れるベテランに白羽の矢を立てた。

 オールスター出場10度のイチロー加入に、地元フロリダは早くも歓迎ムード。マイアミ・ヘラルド電子版は「新加入選手で誰が最も興奮するか」というアンケートを実施、イチローは昨季両リーグ最多64盗塁のゴードン内野手を抑えて1位に立った。マリナーズ時代も同僚のモース内野手はツイッターで「マーリンズにとって大きいよ」と再会を喜んだ。

 大リーグで殿堂入りへ節目の安打となる通算3000安打まで156本。ピート・ローズの最多記録通算4256安打に、日米通算であと134本と迫る。公式サイトによると1年契約だが、3000安打が近づけば2年目の契約延長を検討する模様。米北西シアトルから正反対に位置する南東部マイアミで、イチローの新たな挑戦が始まる。

 ◆マーリンズ外野手事情

 右翼ジアンカルロ・スタントン(25)が若き主砲としてチームの核となっており、昨季は37本塁打でナ・リーグ本塁打王となった。左翼クリスチャン・イエリチ(23)は昨季打率2割8分4厘、9本塁打、54打点で21盗塁と俊足を発揮し、中堅マルセル・オズナ(24)は打率2割6分9厘、23本塁打、85打点とパワーと優れた身体能力を持つことで知られる。この若き外野陣は米スポーツ専門サイトESPNの外野陣ランキングで1位となっており、守備力も評価されている。米各メディアはイチローを4番目の外野手として位置付けており、イエリチ以外は右打ちであることから、イチローは左の外野手として代打での起用も多くなると予想している。

 ◆マイアミ・マーリンズ

 93年リーグ拡張でフロリダ・マーリンズとして誕生しナ・リーグ東地区に所属。12年に新たな本拠地完成に伴い現チーム名に変更。97年に当時史上最速記録の創設5年目で世界一に輝き、03年に2度目の世界一達成。このオフに米プロスポーツ史上最高額となる13年3億2500万ドル(約390億円)で25歳の主砲スタントンと契約。日本選手は初めての所属となる。