ヤンキースからフリーエージェント(FA)となっていたイチロー外野手(41)が27日(日本時間28日)、マーリンズと正式契約を交わした。年俸200万ドル(約2億4000万円)の1年契約。背番号はオリックス、マリナーズ時代に付けていた「51」になることが確実となった。今日29日に都内で入団記者会見を行う。

 タフな移籍交渉が終わった。イチローが新天地探しで最優先したのは、金銭の条件ではなく、プレー機会の多さだった。昨季は、出場機会が不規則ながら打率2割8分4厘と安定した成績をマーク。「今後、僕を支える時間でした」と振り返るほど、内面を見つめ返すシーズンだった。

 そんな1年を経ての移籍交渉が簡単ではないことは、自身が十分に承知していた。親しい知人には、メジャーからのオファーがない場合、日本球界復帰の可能性を漏らすなど、選択肢は広げていた。ただ、昨季最終戦時点で「今日から162試合やれと言われても、僕にはできる」と言い、自分を疑うことはなかった。

 土地柄も大事だった。オリオールズ、ブルージェイズなども興味を示していたが、以前からマイアミには好印象を持っていた。出場機会を争えるチーム内情に加え、近隣に高級保養地が広がる住環境や、日本人コミュニティーのある安心感から、早い時期から「マ軍最優先」で交渉を進めてきた。熟慮を重ねて選んだ、41歳シーズンの舞台を、どう表現するか。東京での会見の言葉が楽しみだ。【四竈衛】