マーリンズと正式契約を結んだイチロー外野手(41=前ヤンキース)が29日、都内のホテルで入団会見を行い、メジャー15年目の思いを語った。年俸200万ドル(約2億4000万円)の1年契約で、背番号はオリックス、マリナーズ時代と同じ「51」に決まった。会見にはサムソン球団社長、ジェニングズGMら球団幹部が同席。約160人の報道陣と20台を超えるテレビカメラの前で、真新しいユニホーム姿を披露した。

 -例年より所属チーム決定まで時間がかかった

 イチロー

 犬の気持ちは聞いたことがないけど、ペットショップで並んでいるかわいい子たちがどんどん売れていって、ちょっと大きく成長した犬は残っていく、みたいな状態ですかね。それでも飼ってくれる人がいたら、忠誠を尽くすと。そんな感じでしょうか。

 -その飼ってくれる人はどう映ったか

 イチロー

 熱いです。絶対こないでしょ、マイアミからですよ。あり得ないです。びっくりしました。アメリカでフィジカルチェック(健康診断)をするつもりでしたし、シアトルに家があるので、「シアトルでできないか」とお願いしたんですけど。合意ということになって、駄目もとで日本でできないかと提案したら、合意となった瞬間に「日本でやりましょう」と。急展開でしたね。驚きました。とにかく、気持ちで来るっていうのはこういうことじゃないかなと。段取りは後だという、その先走り方が好きでしたね。

 -マーリンズはどういうイメージ

 イチロー

 (フロリダで)1度、U2のコンサートとダブルブッキングになって球場が使えないと。で、シアトルでそのゲームをやったっていうことがありましたよね?

 チームの伝統ですかね、その先走る感じは。それはあるような気がします。ただ、ものすごく慎重になるよりは、僕はその方が面白いと思います。

 -レギュラー争いは

 イチロー

 (その質問は)まだだね。まだ1月の終わりだから。

 -00年のマリナーズ入団会見から、イチロー選手の中で変わってないことは

 イチロー

 新しいユニホームを着ると、テンションが上がるということです。これは変わらない。ホテルで何度も着ましたし、それは子どもの頃から変わらない。15年前よりもっと前から変わらないですね。

 -マイアミからオファーをもらった瞬間は

 イチロー

 「おおっっ」て思いました。音にしたら「おおっっ」ですね。これは表現できないでしょうね、文字では。一番遠い場所で情報も最も少ないチームの1つでした。でも実際にお話をいただいていろいろ聞くと、こういう時はマイナス要素をまず挙げて、それをクリアできるか考える。全部クリアしちゃったんですよね。細かいことを言えば背番号だったり、自分のウエートマシンを置けるスペースがあるかとか。それが全てクリアになった。そうすると、この話に対してノーという理由がなくなったということです。時間はかかりました。

 -新しい環境に飛び込む気持ちは

 イチロー

 そんな重いものじゃなかった。こんなことは若いうちにしかできないと思うから。これは行くべきだって思いますよね。まだ平均寿命までは39年くらいあるので、そういう観点からとらえると、という意味です。野球選手としてという意味ではなくて。

 -今年の自分のプレーをイメージするとしたら

 イチロー

 ちょっと早いかな、それ(質問)も。まず、このユニホームがしっくり、見てくれている人たちにもしっくりくるような状態に、やっている中でそうなっていく。それがなるべく早い方がいいとは言えますけど。

 -外野のポジション争いについては

 イチロー

 4番目の外野手であることは想定内。アメリカでは40を超えた野手にポジションを与えるということは、その時点でカットされる。年齢を見ただけで。そういう傾向があるので4番目ということは何の問題もない。3番目を望むというのは…。そんな自分はどうかな、と思いますけどね。5番目では、それはつらいかもしれないですけど。それに僕はピッチャーもできますからね。

 -15年前から変わったことは

 イチロー

 会見で話したことが、どれくらい影響あるのかということを、当時は何も考えていなかった。今日はどうなんだと言われたら、そこは黙るしかないです。考えていてこれかと言われれば、ごめんなさいという他ないです。

 -ヤンキースでの2年間は

 イチロー

 素晴らしい経験だと思います。なかなかあの経験はできることではない。僕のこの先、未来の中で、大きな支えとなる2年間でした。

 -日本復帰は選択肢にはあったか

 イチロー

 いろいろ考えました。いろいろ考えました。それで察して下さい。