稼頭央が逆転満塁王手弾/ナ地区S
<ナ地区S:フィリーズ5-10ロッキーズ>◇第2戦◇4日(日本時間5日)◇シチズンズバンクパーク
【フィラデルフィア(米ペンシルベニア州)4日(日本時間5日)=佐藤直子通信員】ロッキーズが松井稼頭央内野手(31)の逆転グランドスラムでフィリーズにロードで連勝し、初のプレーオフ(PO)シリーズ突破に王手をかけた。松井は1点を追う4回2死、メジャー移籍後初となる満塁本塁打など3安打を放った。単打が足りずPO史上初のサイクル達成こそ逃したが、3安打すべてが長打で、1試合9塁打は自己ベスト、5打点は同タイと爆発した。
敵地に詰めかけた4万5991人の大観衆を松井が1発で黙らせた。1点を追う4回2死満塁、普段通り「ヒットを打とう」と打席へ入った。2番手ローシュの4球目、内角低めの直球を巧みに振り抜いた。伸びのある打球が右翼席に飛び込んだ。静まり返った球場で、喜びをグッとこらえて本塁に戻ると、チームメートとハイタッチを交わして満面に笑みを浮かべた。「ビックリした」という逆転満塁本塁打。POでは日本人初となる1発で、フ軍に引導を渡した。
メジャー初の記録もかかっていた。第2打席に中堅フェンス直撃二塁打、第3打席の満塁弾、第4打席には右中間三塁打を放ち、単打が出ればPO史上初のサイクル安打達成だった。惜しくも8回の最終打席は中飛打に倒れて快挙を逃したが「自分の記録よりもチームの勝利」と意に介さなかった。
松井の活躍に絶句したのは、フ軍ファンだけではなかった。この日、球場にはフィラデルフィアから電車で約1時間離れたニューヨークの記者が数多く駆けつけていた。メッツ時代の松井を酷評し続けた記者の中には、いまだに過小評価を続ける者もいる。だが、目の前で演じられた独壇場に評価を高めるほかなかった。試合後、ヒーローとして呼ばれた会見場では、メ軍に関する質問も飛んだが「今はコロラドにいるので、ニューヨークのことは話す必要がない」とピシャリ。この日見せたパフォーマンスが答えだった。
チームはMVP候補ホリデーの2戦連続アーチをはじめ、大量10点を挙げて2連勝。初のリーグ優勝決定シリーズ出場に王手をかけた。現行のプレーオフ制となってから、地区シリーズの敵地で2連勝発進したチームは12回中11回勝ち抜いている。戦いの場は6日から今季の勝率6割2分2厘を誇る本拠地デンバーに移る。ここ17戦16勝という勢いも追い風になる。松井は「ワールドシリーズになると緊張すると思うけど。これを勝ち上がっていかなければいけないから」と先を見据える。稼頭央劇場はこれから頂点を迎える。
[2007年10月6日9時12分 紙面から]
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