<ア優勝シリーズ:レイズ3-1レッドソックス>◇第7戦◇19日◇トロピカーナフィールド

 【セントピーターズバーグ(米フロリダ州)=千葉修宏、山内崇章、木崎英夫通信員】レイズ岩村明憲内野手(29)が歴史をつくった。ア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦でレッドソックスを4勝3敗で倒し、リーグ初優勝を果たした。前年のリーグ最低勝率球団が優勝したのは1991年のブレーブス以来史上2度目。岩村は1点を追う4回にチーム初安打を放ち、最後はウイニングボールをつかんだ。次は22日(日本時間23日)に開幕するワールドシリーズで、ナ・リーグ優勝のフィリーズと戦う。

 ウイニングボールだけは離さなかった。3-1とリードした9回表2死一塁。代打ローリーのゴロが二塁岩村の正面へ飛んだ。イレギュラーして跳ねたが、素早い反応で顔面付近でキャッチ。自ら二塁ベースを踏むと、ジャンプしながらマウンド付近の歓喜の渦に巻き込まれた。それでも「ウイニングボールはだれにも渡したくない。(遊撃に)トスしようと思ったけど、いや待てよと(笑い)。初優勝は歴史に残ると思うんで」。球を握りしめロッカー室へ持って帰った。

 3勝1敗と王手をかけながら、2連敗。「オレ今日の試合が終わって死んでもいいって。そういう覚悟でグラウンドに立っていました」。1点を追う4回裏。パーフェクトを続けていた左腕レスターの球速88マイル(約142キロ)カットボールを左前へ運んだ。「デッドボールでもいいという強い気持ちを持って踏み込んでいった結果です」。この回、同点に追い付いた。

 支えたのは昨年10月の悔しさだ。「NHKさんにゲスト解説としてリーグチャンピオンシップに呼ばれて。普段戦っている選手たちの姿を見て、すごい良い経験になりました。その悔しさが今回に生きたと思います」。昨年の今ごろはゴルフをしていた。それに比べ「ずっと日本シリーズをやっているみたい」という今年の疲れはケタ違い。だが充実している。

 試合終了後、フィールド上で美幸貴夫人と固く抱き合い、ファンとも“シャンパン・ファイト”をした。フリードマンGMが近づいてきて、リーグ優勝トロフィーを持たされると、ひと言「Four

 more!(あと4勝だ)」と今季最後の指令を受けた。岩村も「まだ終わりじゃない。最後の戦いがあるんで。そこに集中していきたい。ワールドシリーズが終わってから、貢献できたと言えると思う」と言った。前年メジャー最低勝率チームが制覇すれば史上初の快挙になる。【千葉修宏】