<ワールドシリーズ:ヤンキース1-6フィリーズ>◇第1戦◇28日(日本時間29日)◇ヤンキースタジアム
【ニューヨーク=大塚仁】ヤンキースは今ポストシーズン初めて本拠地で黒星を喫し、「6番DH」で出場した松井秀喜外野手(35)は3打数1安打だった。第2戦は29日(同30日)に行われる。
思わぬトラップが待っていた。1点を追う5回。無死から中前打で出塁した松井は次打者カノの遊撃へのハーフライナーに戸惑った。ワンバウンドで捕られたようにも見えたが、二塁を踏んで一塁に転送した遊撃手ロリンズは実際は地面すれすれでライナーを捕球していた。そのため急いで一塁に戻ればセーフだったが、ロリンズが二塁を踏んだ時点でアウトと思いベンチへ歩き出した。だが本当にアウトになったのはその後一塁手ハワードにタッチされた時だった。
ライナーで捕りながらごていねいに二塁まで踏んだロリンズのプレーに「そのまま捕っていたようですね。うまくだまされました」と松井はお手上げ状態。だがロリンズは「本当はワンバウンドさせるつもりだったんだけど、できなかった。結果的に松井にフェイクをかけた形になったよ」と「結果オーライ」だったことを明かした。結果として併殺でチャンスをつぶしたヤンキースは、直後の6回表に2点目を奪われてそのまま試合の主導権を失った。ワンプレーが流れを変える短期決戦の怖さを、6年ぶりの舞台で思い知った。
「逃した魚」ともいうべき1点の価値はいつも以上に大きかった。打線が昨年のサイ・ヤング賞左腕リーの前に8回までは三塁も踏めずに沈黙。9回に失策がらみで1点を奪ったが後の祭りだった。「本当に今日はいいところがまったくなかった。特に打線は」と3打数1安打の松井も完敗を認めるしかなかった。
ワールドシリーズで初戦を落としたチームは昨年まで6年連続で敗れている。最近10年間では1勝9敗。また同シリーズでの完投勝利は03年第6戦のベケット(当時マーリンズ)以来だが、その試合で移籍1年目の松井は2勝4敗での敗退を味わっている。新球場最多観衆となる5万207人の前で喫した不吉な黒星スタート。暗雲を振り払うには因縁の相手ペドロ・マルティネスを第2戦で打ち崩すしかない。



