輝け一番星! 中日ドラフト7位遠藤一星内野手(25=東京ガス)が開幕スタメン候補に浮上した。ロッテ戦に8番遊撃で先発出場。5回には2死から右中間を破る二塁打を放った。安定した打力で存在感は増すばかり。中日では立浪和義氏(45=野球評論家)ら名プレーヤーしか成し得なかった新人遊撃手の開幕スタメンも可能性は十分だ。

 背番号23が、また鋭い打球を飛ばした。5回2死からロッテの新助っ人右腕イ・デウンの149キロ直球を振り抜き、右中間を破る二塁打を放った。オープン戦4試合目となったこの日は8番遊撃でスタメン出場。8回には送球エラーもあり「最悪です。全然ダメです」と守備は反省が口を突くが、バットの勢いはまったく衰えず。これでキャンプ中から実戦7試合で17打数6安打2打点、打率3割5分3厘だ。

 「柳田になれる!」と太鼓判を押したのは今春のキャンプまで特別コーチを務めた土井正博氏(71)だった。182センチ、78キロ。過去にモデルにスカウトされた経験をもつ正真正銘の“モデル体形”だ。一見、きゃしゃに見える体だが清原、おかわり君(中村)ら強打者を育てた名伯楽は力強さを感じ取る。前に体つっこむ悪癖を修正させ、ソフトバンク柳田のようなフルスイングを継続しろと助言した。

 ひょっとして…と思わせる。その最大の理由がチーム状況だ。遊撃のポジションを争うのはエルナンデス、三ツ俣、堂上ら。外国人枠との兼ね合いもあり、開幕ギリギリまで遊撃手が決まらない可能性は高い。辻野手総合コーチも「ショートはね…」と苦笑いを浮かべつつ「(開幕は)監督が決めることだから分からないけど、大いに期待している」と真剣。遠藤も十分に狙える位置にいると言っていい。

 中日で新人の開幕スタメンとなれば10年大島(中堅)以来、5年ぶり。ショートに限ればドラフト制後は立浪、福留だけしかいない。偉大な先輩の名前を聞かされた遠藤は「今は1戦1戦、目の前の試合でアピールするだけです」と端正なマスクをキュッと引き締めた。27日、京セラドーム大阪での阪神戦。ショートを守るのは誰か? 風は遠藤に吹いている。【桝井聡】

 ◆遠藤一星(えんどう・いっせい)1989年(平元)3月23日、東京都出身。駒場学園-中大-東京ガス。昨年の仁川アジア大会で日本代表入り。社会人時代にはモデルにスカウトされたことも。外見は草食系も野球は走攻守に攻撃的で、いわゆる「ロールキャベツ男子」。182センチ、78キロ。右投げ左打ち。

 ◆中日のショート事情 本命は昨季開幕スタメンだったエルナンデスだが、腰痛のためキャンプ序盤から2軍調整。2月28日の教育リーグ阪神戦(鳴尾浜)で実戦に出場し3打数1安打だった。他には昨年7月にオリックスから移籍した三ツ俣がいる。昨年61試合遊撃で先発した堂上はキャンプも2軍スタートの試練。

 ◆中日新人遊撃手の開幕戦先発 プロ野球初年度の36年を除き、1リーグ時代に38年村瀬と43年金山、2リーグ制後は88年立浪と99年福留の合計4人いる。高卒新人だった立浪は2番遊撃で出場し3打席目に二塁打放って4打数1安打。福留も2番遊撃で出場したがが、こちらは4打数0安打だった。ちなみに、新人遊撃手が開幕で先発した88年と99年の中日はともにリーグ優勝。