中日山本昌投手(49)がまさかの「落とし穴」に、はまった。実戦初登板だった3日の教育リーグ・ソフトバンク戦(ナゴヤ)に4回から登板したが、1球を投げたところで右膝に異変を訴え、緊急降板した。マウンドの穴に足をとられ、膝をひねったという。幸い軽傷とみられるが順調に進んでいた調整が初めて足踏み。目標の開幕ローテ入りへ、計画変更を余儀なくされそうだ。

 地元ファンの熱い声援を受けて、大きなフォームから投げ込んだ注目の第1球。125キロを示した直球が高く浮いた。マウンドの山本昌は顔をしかめていた。屈伸して様子を確かめたが、降板となった。一瞬のできごとに、場内のどよめきは収まらなかった。

 約1時間のアイシング治療を終えて球場を出てきた山本昌は足を引きずることもなかった。「ひざをひねっちゃった。ゴリッといった。歩けるのでそんなに重くはないと思う。普通にしていれば痛みはないけど、曲げると痛い。チームに迷惑をかけちゃったね」

 登板は両軍の左右の投手が投げたあとの4回からだった。踏み出し位置に2つの穴が掘れていた。その中間に足を置いたつもりが、少し踏み外したようだ。「僕もびっくりした。投球練習のときに削ったけど少し足りなかった。試合になると出る力が違うから」。自ら運転する車で向かった名古屋市内の病院では、軽い右膝蓋(しつがい)靱帯(じんたい)炎と診断された。

 今季、1勝でもすれば最年長勝利の世界記録を達成する球界のレジェンド。注目されるシーズンに向け、ここまでは順調そのものだった。沖縄ではすべての休日を返上するなど、体力的にも良好だった。

 計1000球以上のブルペン投球、フリー打撃登板、シート打撃登板とクリアし、今回の初登板からイニング数を増やす計画だった。ただ、「せっぱ詰まってやってギリギリ開幕に間に合うくらい」と話していただけに、アクシデントの影響は避けられない。

 今日4日も練習予定だが、炎症が引くまでは練習メニューも限られる。「調整はズレるけど何とか頑張っていきたい」。目標としてきた開幕ローテ入りへ、意外な形で足踏みを余儀なくされた。【柏原誠】