ソフトバンクが正捕手不在でシーズン開幕を迎えることになった。右手親指付け根を痛めていた細川亨捕手(35)の負傷が骨折だったことが3日、明らかになった。前日2日に再検査を受け、「右母指中手骨骨折」と診断された。4週間は患部をギプスで固定する必要があり、開幕は絶望となった。投手陣から全幅の信頼を得ている扇の要の離脱に工藤監督も「痛いよ」と頭を悩ませた。

 細川がギプス姿で西戸崎合宿所に現れた。前日2日にはなかったギプスが右手に。「折れてました。そりゃ投げれない。まぁ、骨折とはっきりしたんで」。悔しいというよりも、さばさばとした表情で、現状を受け入れていた。

 痛めたのはキャンプ終盤。ブルペンで投球を受けていたときだった。フォークボールが人工芝と土の切れ目でバウンドしイレギュラー。体を使って捕球にいった際、ボールが右手を直撃した。当初の診断は打撲だったが、内出血が引いても痛みが治まらなかったため、2日の練習後に福岡市内の病院で再検査。「右母指中手骨骨折」が判明した。ギプスで4週間固定するため、今月27日のシーズン開幕は絶望となった。

 本人も「復帰まで1カ月半はかかる」との見通し。この日はランニングや左手1本でのティー打撃を行った。今日4日にもかかりつけの東京都内の病院に行き、早期復帰の道を探っていく。

 細川は昨季112試合に出場。クライマックスシリーズ、日本シリーズではすべてスタメン出場。日本シリーズ第5戦では不調だったエース摂津を大胆なカーブ中心のリードで6回無失点に導き、チームを日本一にけん引した。投手陣の信頼が厚い正捕手の離脱に工藤監督は「痛いよ。残りのメンバーでやっていくしかない。早く治してほしいが、期限がある。野手にも影響があるかもしれない」と話した。細川、鶴岡の捕手2人制で開幕に臨む可能性もあったが、細川離脱を受けて今後は3人制を検討する必要も出てくる。

 この日の阪神とのオープン戦では斐紹(あやつぐ)がフル出場。捕手を代えなかったのは工藤体制の対外試合7戦目で初。10年ドラフト1位の高卒5年目の成長株とはいえ経験は少ない。育成出身の強肩拓也、昨年第3の捕手としてベンチを支えた高谷らもいるが、当面は移籍2年目の鶴岡が穴を埋める存在とみられる。いずれにせよ、細川離脱のショックは大きい。正捕手を欠く苦境で、工藤ソフトバンクの1年目が幕を開けることになった。【石橋隆雄】

 ◆ソフトバンクの捕手事情 昨年は細川、鶴岡、高谷の30代3人でまかなった。拓也は1イニング守っただけ。斐紹(昨年は山下)は代走での1試合のみだった。開幕マスクを任されたのは鶴岡だったが、112試合に出場した細川がスタメンで95試合起用された。今季はキャンプで細川、鶴岡、斐紹、拓也がA組。高谷はB組で調整していた。ほかに支配下の捕手は新人の栗原陵矢(18=春江工)だけ。キャンプは右膝痛で別メニューだった。育成には、元DeNAの細山田、2年目の張本、高卒新人の堀内汰門(18=山村国際)の3人がいる。