日本ハム大谷翔平投手(20)が、「仮想開幕戦」での思わぬ乱調で“KO”された。3日、巨人とのオープン戦(札幌ドーム)に先発。初回から3安打に2四球も絡み、いきなり4失点した。2回以降は無失点も4回4安打6四球、最速153キロと自慢の剛速球も影を潜めた。巨人には3度目の対戦で初黒星。27日楽天戦(札幌ドーム)で初の開幕投手を務めることが決まっているが、同じ舞台で苦心の投球となった。

 ストライクが入らず、高めに浮くと痛打された。次々と走者が本塁を駆け抜け、自らの親指でひっかいた右手薬指には血がにじんだ。日本ハム大谷は“悪夢”を受け止め、先にある現実を見据えた。

 大谷 今日が(公式戦)一発目じゃなくてよかった。前の段階があって開幕に臨めるのはよかったと思います。自分の形で投げることができなかった。ブルペンからしっかり修正していきたいです。

 登板が決まっている27日開幕戦(対楽天)と同じ札幌ドームでの今季初登板で、4回4失点“KO”。今年初のナイターは、刺激的な夜になった。

 制球が乱れに乱れた。1回1死から松本哲、坂本に連続四球を与えてピンチをつくり、セペダ、高橋由、井端には直球をはじき返された。2回にも3連続四球で1死満塁のピンチ。後続は抑えたが、2回までに51球を要し、うち25球がボール。「フォームが投げ急いでいた。マウンドとかみ合わなかった」。キャンプ地・名護とは違い、硬い土が特徴の本拠地マウンド。序盤から制球が乱れたことで、投球フォームにもゆとりがなくなった。少年時代からあこがれていた高橋由との初対決にも「余裕もなくて、次(の打者)が誰とか考えることもなかった」。自分に精いっぱいで、感慨は一切なかった。

 最速は153キロ。ほとんどが140キロ台で、生命線である直球がとらえられるケースが目立った。「自分の軸は真っすぐ。そこをよくしてゲームをつくらないといけない。リスクはあるけど我慢して投げました」。変化球でかわすことはせず、あえて直球主体にこだわった。4回には四球で走者を背負ったが、坂本を併殺打に仕留めて3者凡退。「徐々によくなった。結果的に2回から0でいけたのは、シーズンだったら大事なことだと思う」。苦しんだマウンドの中にも、光を見つけて降板したのが救いだった。

 栗山監督は「翔平にとってもすごくいい勉強になった。生かしてほしいと思う。開幕前にいろんなことが出たのはいいこと」と前向きにとらえた。次回登板は11日DeNA戦(鎌ケ谷)の予定。「今日出せなかったことをしっかりと出せればいいです」。すべては、開幕戦の夜にいい夢を見るための準備になる。【本間翼】

 ▼大谷が1回に4失点と崩れた。1イニング4失点以上はオープン戦では初めてで、公式戦を含めると14年5月20日中日戦(5失点)以来4度目。初回では同年4月27日ロッテ戦以来2度目。2回には3者連続与四球。オープン戦では初で、公式戦を含めると13年9月26日ロッテ戦でブラゼル→サブロー→福浦に与えて以来2度目。他に四球→死球→四球が13年に1度ある。