ファンが納得する姿を見せろ。巨人原辰徳監督(56)が5日、菅野智之投手(25)にハッパを掛けた。開幕投手の大本命とみられていたが調子が上がらず、現在はジャイアンツ球場でミニキャンプの最中。3月に入り先発陣が軒並み調子を上げ、群雄割拠の様相を呈してきた。残りのオープン戦で、万人を納得させる立ち居振る舞いを求めた。

 パッと両手を広げた。原監督は「最初はこうだった」と言い、左手を上、右手を下にした。「でも、今はこうだな。昨日の投球でな。ナイスピッチングだった」と、じわじわ右手を上げていった。左手と入れ替わって、上に位置させて止まった。右手は内海。左手は菅野だ。

 開幕投手の位置付けが、3月に入って入れ替わった。コツコツと調整を進めてきた内海は、4日の日本ハム戦で3回無失点と好投。一方の菅野は、キャンプから調子が上がってこない。実戦3試合で、8回を投げて被安打12、5失点。「菅野で無風」と目されていた開幕投手の座が、がぜん面白くなってきた。

 シーズンの船出を任せる基準は、何なのか。原監督は「ファン」と即答、持論を展開していった。

 原監督 競った状態であるならば、独断で決めることもあるだろう。でも、それではダメだ。ファンが納得いくものを残すことがベスト。「この投手にシーズンを託すんだ」と、思わせること。飛び抜けたものを見せてね。

 ファン投票で決めればいいのではないか。「ダメだな。そういう(単純な)ものじゃない」とまた、即答だった。原監督は開幕ゲームを単なる「143分の1」と考えていない。ファンに今年の戦いざまをお披露目し、ライバルには「巨人強し」を見せつける。大切な舞台に設定している。万人が認める立ち居振る舞いを求めるからこそ「投げるだけじゃない」と加えた。

 広げた手を下げ、指を折っていった。「内海、杉内、外国人も面白い。高木(勇人)だって。みんな候補。いいことだよ」と、アピールを続ける先発陣を列挙。「1人、だらしのない人がいるな。ちょっと足踏みしている。まぁ、原家にはそういう(切羽詰まった状況に置かれる)DNAがないんだけど」と指摘したその1人こそ、菅野だ。

 遠投、ブルペン投球とジャイアンツ球場での調整ペースを上げてきた菅野。監督の思いを伝え聞き「はい!」と引き締めた。12日ソフトバンク戦(福岡ヤフー)で先発の予定。仲間もファンも納得する一発回答となるか。【宮下敬至】