投手王国の完成で、伝説を作れ! ソフトバンク孫正義オーナー(57)が6日、都内の本社で行われた激励会で工藤公康監督(51)に猛烈な活を入れた。屈指の打線に加え、摂津、松坂を中心とした投手王国の形成を厳命。まずは日本一連覇を達成し、巨人のV9超えとなる「V10」の実現を願った。

 約500人の社員で熱気に包まれた会場で、孫オーナーが壇上で豪快に言い放った。

 「わがホークスはいよいよ伝説を作り始めている、と感じている。日本の3割打者はほとんどがソフトバンクという素晴らしいチームができました。それに加えて投手王国をぜひ工藤監督に率いていただいて、どこから見ても、ホークスが日本一という形を作り上げたいと願っています」

 昨年は5人の3割打者を擁し、日本一を達成。強力打線は12球団屈指だ。これに投手力がアップすれば、投打ともにハイレベルなチームが誕生する。それを実現すべく、投手出身の工藤監督を招へいし、松坂も獲得した。孫オーナーが常々、口にする10年連続の日本一。巨人のV9超えとなる「V10」の伝説へ、猛烈な激励だった。

 公の場で初顔合わせとなった工藤監督は、額に大粒の汗をにじませた。責任の重さを感じつつ、正面からオーナーの言葉を受け止めた。

 「投手王国と言われた瞬間に、汗が出ました。投手の能力は高い。野手もまだまだ伸びる能力を持っている。限界はあってないようなもの。勝つ、優勝するという気持ちをグラウンドで出すことができる。これを優勝にかえることも可能だ」

 自ら限界点は設定しない。指揮官は現役時代から誰よりも向上心を大事にしてきた。「今の世代と次の世代を作って、競争させていく」と投手力アップによる常勝軍団の形成を誓った。

 孫オーナーは激励会の直前に松坂にも声をかけた。「相当活躍してくれると期待してます。華もあるし、それだけ注目されている。ほかの投手にも刺激を与えてほしいですね」。開幕ローテーションは絞られてきたが、先発候補は10人以上いる。松坂の加入は激しい競争を誘発した。伝説のチーム作りは着々と進んでいる。【田口真一郎】