10代の新守護神が誕生する。楽天大久保博元監督(48)が10日、今季から救援に転向する松井裕樹投手(19)を抑えに昇格させる考えを明らかにした。主に8回のセットアッパー役を任せるつもりだったが、守護神を予定したキャム・ミコライオ投手(30)が椎間板ヘルニアを発症。全治3カ月の診断でチームを離脱したため、奪三振率の高い松井裕を開幕クローザーに抜てきする。

 緊急事態にも焦ることはなかった。抑え候補のミコライオが離脱し、開幕絶望となることが判明。西武とのオープン戦に勝利後、大久保監督は言い切った。「全日本に入って必ず成長してくる。9回を任せる可能性が非常に大きいでしょう」。最年少で侍ジャパンに選出された松井裕を守護神に据えると、ほぼ明言した。

 今キャンプで松井裕には先発から中継ぎへの転向を指示した。「勝つには必要な投手。毎日いてくれないと困るという気持ちを込めた」とリリーフへと回した。全ては終盤3回に盤石な中継ぎ陣を作るため。クルーズ、松井裕、ミコライオの3人に「CMM」と命名するほど、今年の目玉だった。しかし「ミコライオは絶対的だった」と守護神が開幕に間に合わなくなったことで、素早く動いた。

 抑え任命の決め手は、奪三振率の高さだ。「(9回は)奪三振が高い投手が一番」と説明した。昨季は1試合あたり9・78という数字を残した。一時期経験した中継ぎに限れば10試合で12・00。バットに触れさせないほど、絶対的な安定感を求められる9回にはうってつけの存在だった。

 指揮官が報道陣に囲まれていたほぼ同時刻。松井裕は東京ドームで侍のユニホームに身を包み、守護神抜てきを伝え聞いた。「もし守護神に指名されるならば、こいつで負けたらしょうがないという気持ちで送り出される。試合を締めるという意味でのプレッシャーもありますし、気持ちの部分でも違う」と話した。

 心の準備はまだ出来ていない。それでもロッテ西野、西武牧田らに抑えの心構えを聞くなど、積極的に動いた。「打たれても、逆転されても次の日にはマウンドに上がらないといけない」。イメージは少しずつ作る。まず今日11日は、8回の1イニングを予定。絶対的な守護神になるため、日の丸を背負ってマウンドに立つ。【島根純】