ソフトバンク内川聖一外野手(32)が4番の勝負強さを発揮した。11日の巨人戦で4回に決勝の2点タイムリーを放った。工藤監督が描く新打線では、開幕戦を4番で迎えることが確実。昨年の主戦場だった3番から打順が変わっても、頼りになる男の打撃は不変だ。

 これぞ4番の存在感だった。1点を追う4回裏1死二、三塁。内川が巨人大竹のシュートを打ち返した。打球は二遊間を割って、2人の走者が生還。2点タイムリーが決勝打になった。「いいところで回してもらった。内野が下がっていたので、ゴロさえ転がせば、1点入る。たまたま抜けてくれた」。相手右腕の武器をとらえ、勝負を決める一打を放つ。4番の理想的な姿を見せた。

 昨年のオフに、「どうせなら、開幕から4番を打ってみたい」という思いを語っていた。キャンプ中には工藤監督から「4番の可能性はあるぞ」と告げられた。実戦では柳田との4番テストが始まった。「本当に打つと思っていなかった」というのが内心だった。工藤監督の描く打線では李大浩の5番が早々と決定。俊足を生かした攻撃が展開できることで柳田は3番へ。指揮官はこの日の試合後に言った。「僕の場合は効率なので。内川は3番でも4番でも変わらない。安心して、どこでも任せられる」。最も信頼している打者の開幕4番が確実になった。

 昨年までの主戦場だった3番から、打線の顔となる4番に移る。打撃スタイルは変わらないが、打席に立つ気持ちは違う。「ホームランを狙うわけではない。右打ちが必要なら、する。4番の責任は大きいとは感じる。勝負を決める時に、打たないといけない」。

 今季は一塁の守備練習を続けている。4番として、グラウンドに立ち続けてもらうことを指揮官が考えているからだ。その気持ちを内川は受け止めている。「自由にやらせてもらっているので、ケガをしてはいけない。ずっと出続けないと」。長谷川も合流し、14日の中日戦からベストオーダーを編成する予定。その中心には内川がいる。

 ▼ソフトバンクが今春オープン戦で先発4番に起用したのは3人。5試合で4番を打った内川のオープン戦打率は2割6分3厘。一方、3試合の柳田1割7分4厘、1試合の李大浩は1割3分3厘。なお内川の公式戦でのスタメン4番出場は25試合(横浜2試合、ソフトバンク23試合)で3本塁打、15打点、2割5分8厘。開幕戦では1度あり、横浜在籍の09年4月3日中日戦(ナゴヤドーム)で4打数1安打。