ソフトバンクが今季2度目のサヨナラ勝ちで3連勝だ。押し出し四球によるフィナーレで、貯金を今季最多の4に増やした。勝利へのチャンスメークは、9回2死から高田知季内野手(24)の右越え二塁打。今季4度目のスタメン起用となった高田はプロ初の猛打賞で、工藤監督の期待に応えた。本多、長谷川らレギュラー陣が故障する中、また新しいヒーローが誕生した。

 あっけない幕切れだった。同点の9回2死満塁。中村晃は1度もバットを振らず、最後は高めに浮いた直球を見送った。大歓声の中、三塁走者の高田はバンザイしながらサヨナラのホームを踏んだ。

 高田のバットが延長突入ムードを切り裂いた。9回2死走者なしから、右越え二塁打。その後の3者連続四球を呼び込んだ。「少ないチャンスの中で迷っていても仕方がない。2ボールだったので」と冷静に直球を待ち、捉えた。

 この日はプロ初の猛打賞。4回の藤田の一、二塁間の難しいゴロをさばいた。工藤監督は「よく打ってくれたし、いい働きをしてくれた」と褒めた。今季はここまで12試合に出場。スタメンにも4度起用され、打率3割4厘と期待に応えている。

 12年ドラフト3位で亜大から即戦力遊撃手として入団も、ここまで伸び悩んでいた。春季キャンプでは3年連続で病気のため離脱、ファーム落ちするなど運にも見放されていた。だが、オープン戦中に再合流すると、本多の故障もあり試合出場が増えてきた。「こんなに試合に出られるとは思っていませんでした。だいぶ慣れてきました。塚田さんも牧原も結果を残しているので、いい意味でライバル。お互い向上しあっていきたい」。工藤監督の積極的な若手起用が連覇を狙うチームに新しい風を吹き込んでいる。

 お立ち台では亜大の先輩松田から「最後に何かやれ」とパフォーマンス指令を受けていたが「3年目の高田です。チームに貢献できるように頑張ります」と真面目に自己PR。松田は「もったいない。何でもやったらいいのに」と笑った。大手通販会社「ジャパネットたかた」と同じく「タカタ」と濁らないことから愛称は「ジャパ」。若手の台頭で3連勝。首位日本ハムに1ゲーム差でピタリと追走する。【石橋隆雄】

 ◆高田知季(たかた・ともき)1990年(平2)5月6日、兵庫県姫路市生まれ。岡山理大付で2年夏に甲子園出場。亜大では1年春からレギュラー。2年秋に盗塁王。4年では副主将として主将東浜を支えた。12年日米野球で日本代表。同年ドラフト3位でソフトバンク入団。愛称はジャパ。175センチ、66キロ。右投げ左打ち。