頂点奪取のキーポイントは「2番上本」だ。注目すべきは無得点に終わった1回だ。1番鳥谷が凡退した後、打席に入ると杉内の直球をとらえて中前にクリーンヒット。長打のある主軸の前に出塁する形が、先発杉内に一筋縄でいかない猛虎打線を印象づけた。和田豊監督(52)も手応えを口にする。

 「2番打者はつなぐ仕事でもあるけど、1番が出られないとき、初回みたいな形で出ると、相手にプレッシャーをかけながらクリーンアップが打席に入れる。そういう攻撃を、上本であればやってくれる」

 得点源のクリーンアップにいかにつなげるか。安定感のある1番鳥谷を固定しても、これまで適役不在の2番が打線を分断する泣きどころだった。

 この日は違う。前日20日に7番だった上本博紀内野手(29)が2番に昇格。6回は先頭鳥谷が出塁すると、初球で送りバントを決め、リズム良く先制攻撃を演出した。「しっかりやっていきます」と口数は少ないが、6月20日ヤクルト戦以来の2番を立派に務め上げた。

 球宴休みの4日間で心身をリセット。シート打撃の好内容は球宴で不在だった和田監督のもとにも報告された。指揮官は「打撃練習も、やっと去年の、本来の上本に近づきつつある」と評し、続ける。「クリーンアップがそこそこ状態が良いだけに1、2番の役割は非常に大きい。なんとか、この1、2番がクリーンアップの前に出られるようにやっていきたい」。

 今後も2番で固定される見通し。開幕2番を張ったが、つなぎを過剰に意識し、打撃を見失った。今度こそ死守したとき、打線の破壊力は格段に上がる。【酒井俊作】